見た目や健康上の理由から悪者にされている肥満には皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満がありましたが、最近またサルコペニア肥満という新たなジャンルの隠れ肥満が登場してきました。
ただの肥満より健康への影響が大きいとされるサルコペニア肥満とはどんな肥満なんでしょう?
またサルコペニア肥満の解消や予防には筋トレが有効と言われますが、どんな筋トレがいいのでしょうか?
さらに自分がサルコペニア肥満かどうか判断するにはどうしたらいいのでしょう?
今回はサルコペニア肥満のそんなところについて調べてみました。
サルコペニア肥満とは?
サルコペニア肥満
サルコペニアという言葉はギリシャ語で「筋肉」を意味するサルコ(sarco)と、「消失・減少」を意味するペニア(penia)を組み合わせた造語で、筋肉減少という意味です。
これに肥満という言葉がプラスされたサルコペニア肥満とは筋肉量が減少し、さらに肥満であるという状態のことで、筋肉が衰えた高齢者に多い肥満の一種です。
筋肉量が減少すると脂肪を燃焼させる力が低下し、同じ食事の量でも脂肪がつきやすい身体になってしまいます。
サルコペニア肥満とメタボの違い
中高年の方にとって肥満といえばメタボを思い浮かべますが、メタボとサルコペニア肥満の違いは筋肉量の低下があるかどうかです。
メタボはお腹がでっぷりと張り出しているので体型の外観ですぐに分かりますね。
ところがサルコペニア肥満は筋肉が減少してその代わりに脂肪がついているので、外観だけでは分からないこともあります。
「自分はウエストサイズが適正だから問題ない」と思っていても、サルコペニア肥満である可能性は否定出来ないわけです。
サルコペニア肥満の危険性
サルコペニア肥満はメタボと同じように脂肪過多による高血圧や糖尿病などの生活習慣病のリスクが高まる他にも、さらに次のような危険性が伴います。
- 筋力低下によってさらに脂肪がつきやすくなる。
- 運動能力が低下する。
特に怖いのは運動能力の低下です。
運動能力が低下すると身体のバランスを取るのが難しくなりちょっとのことですぐに転倒、そして骨を守る筋肉がないので簡単に骨折してしまいます。
骨折したのが足の骨だとベッドで安静にしていることでさらに筋力が低下し、そのまま歩けなくなって寝たきりになってしまう危険性もあります。
また、サルコペニア肥満になると高血圧症になる危険性が普通の肥満に比べて男女とも1割ほど高くなり、70歳以上の糖尿病患者の30%近くがサルコペニア肥満であるという調査結果もあります。
サルコペニア肥満に有効な筋トレは?
サルコペニア肥満は筋肉量の減少が最大の原因なので、筋肉量を増やす筋トレがサルコペニア肥満の解消や予防に役立ちます。
そして、より大きな筋肉を鍛えることで代謝量がアップして脂肪が燃焼しやすくなります。
大腿四頭筋のトレーニング
人体で一番大きな大腿四頭筋を鍛えることで代謝量がアップし、また転倒しにくい身体にすることが期待できます。
大腿四頭筋のトレーニングは器具も不要で誰でもできるスクワットが最適です。
スクワットも正しく行わないと効果は半減してしまいますので、下記の動画のように正しい方法で行いましょう。
ここで気をつけたいのは、膝を曲げたときに膝がつま先より前に出ないようにすることですが、コレがなかなかツライんです。
慣れないうちは机の前などで行い、伸ばした手を机についてバランスを取りながらやるのもオーケーです。
広背筋のトレーニング
大腿四頭筋の次に大きな広背筋を鍛えることもサルコペニア肥満の解消に効果的です。
広背筋を鍛えるにはダンベルやマシンを使うことが多いのですが、器具を使わなくても鍛えられます。
筋トレは小さな筋肉から大きな筋肉の順に行うのが基本ですので、上の筋トレを両方するなら広背筋⇒大腿四頭筋の順にやるようにしましょう。
筋トレを行ったあとには30分以内にタンパク質を摂取すると効果的に筋肉が増えるそうで、その際に少しの糖分をいっしょに補給するとさらにいいそうです。
また、筋トレを毎日やっていいのかということについては諸説あるようです。
サルコペニア肥満のチェック方法
サルコペニア肥満は「筋肉量の低下+肥満」なのですから、体重が変わらなくても、ウェストのサイズが変わらなくても筋肉の代わりに脂肪がついていればサルコペニア肥満の可能性があります。
だからサルコペニア肥満を外観で判別するのは非常に難しいと言えます。
サルコペニア肥満の基準
サルコペニア肥満のはっきりとした基準はまだ明確でなく、一応次のような項目が目安とされています。
サルコペニア肥満の目安
BMI:25以上
体脂肪率:男性25.0%以上 女性30.0%以上
筋肉量率:男性27.3%未満 女性22.0%未満
何のことかよく分からない方もみえると思いますので、順番にみていきましょう。
◆BMI
BMIとはボディマス指数と呼ばれ、身長と体重から計算される肥満度を表す指数です。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m) で導き出され、単位はkg/㎡です。
例えば体重60kgで身長が1.7mの人の場合には
BMI=60÷1.7÷1.7≒20.8ということになります。
ただBMIでは筋肉量や脂肪量はまったく考慮されていないため、これだけでは筋肉が少ないかどうかは分からず、サルコペニア肥満の目安にはならないという意見もあります。
◆体脂肪率
体脂肪率は文字通り全体重における脂肪の重さの割合です。
体脂肪率=体脂肪の重さ(kg)÷体重(kg)✕100 で計算できます。
これだと体脂肪の重さが分からないと計算できませんが、最近では体脂肪計つきの体重計も販売されていて簡単に体脂肪量と体脂肪率を知ることができます。
◆筋肉量率
ちょっと耳慣れない言葉なんですが、体重に占める筋肉の重さの割合です。
体重から体脂肪の重さを引いて、残った重さの半分が筋肉の重さという考えで導き出します。
- 体脂肪の重さ(kg)=体重(kg)✕体脂肪率(%)÷100
- 脂肪以外(骨や筋肉や内臓)の重さ(kg)=体重(kg)-体脂肪の重さ(kg)
- 筋肉の重さ(kg)=脂肪以外の重さ(kg)÷2
- 筋肉量率(%)=筋肉の重さ(kg)÷体重(kg)✕100 で計算されます。
例えば、体重60kgで体脂肪率が20%の人の場合には
体脂肪の重さ(kg)=60(kg)✕20(%)÷100=12(kg)
脂肪以外の重さ(kg)=60(kg)-12(kg)=48(kg)
筋肉の重さ(kg)=48(kg)÷2=24(kg)
筋肉量率(%)=24(kg)÷60(kg)✕100=40(%) というわけです。
なかなか面倒な計算ですが、公式にすると次のようになります(単位省略)。
筋肉量率=(体重-(体重✕体脂肪率÷100))÷2÷体重✕100
このようにして導き出された筋肉量率が基準値未満で、さらに体脂肪率が基準値以上のときにサルコペニア肥満が疑われます。
サルコペニア肥満の自己チェック
上記のような少し複雑な計算をしなくても自宅で簡単にサルコペニア肥満をチェックできる方法をご紹介します。
- 立った状態で靴下を履くことができるか?
- 60秒間片足立ちができるか?
- 椅子に座って両腕を胸の前で組み、片方の利き足だけで立てるか?
上から難しい順に並んでいます。
三つともできないという場合にはサルコペニア肥満の可能性が高いということになります。
サルコペニア肥満は高齢者に多いと言われていて、若くてもこれらのチェック方法がツラいという人は危険なレベルにあると言えるので、今すぐに筋トレを始めることをおすすめします。
まとめ
サルコペニア肥満=筋肉量の低下+肥満
サルコペニア肥満に有効な筋トレ
- 大腿四頭筋の強化・・・スクワット
- 広背筋の強化
サルコペニア肥満の基準
- 体脂肪率:男性25.0%以上 女性30.0%以上
- 筋肉量率:男性27.3%未満 女性22.0%未満
サルコペニア肥満の自己チェック方法
- 立った状態で靴下を履くことができるか?
- 60秒間片足立ちができるか?
- 椅子に座って両腕を胸の前で組み、片方の利き足だけで立てるか?
筋肉の量が減少すると代謝機能が低下して、同じ量の食事をしたときでも身体に脂肪がつきやすくなります。
筋肉の量は20代をピークに減少していくので、それを考慮して食事の量を減らしたり筋肉を鍛えることをしないといけないというわけです。
私の場合、筋肉量率をチェックしてみたら体脂肪率が21.2%で体脂肪量が13.6kg,筋肉量率は39.4%という数字が出てまずはサルコペニア肥満ではないと分かりました。
生涯スポーツとしてテニスをし、毎日筋トレもしているのにサルコペニア肥満だったら真っ青ですね。
にしてもウェスト周り、特に横腹の脂肪は何とかならないものでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。