サラリーマンの方なら労働安全衛生法で決められているので、1年に1度は定期健康診断がありますね。
検査項目は会社によって違うと思うんですが、健康診断のなかで一番ツライのは胃透視の検査、いわゆるバリウム検査ではないでしょうか。
でも、バリウム検査のあとは便が硬くなってしまうので、下剤を渡されます。
下剤を飲んでもバリウムが長期間出ないとどうなるんでしょうか?
また、バリウムが出ないときにはどう対処したらいいのでしょうか?
今回はそんなところを調べてみました。
バリウムが出ないとどうなる?
そもそもバリウムっていったいどんなものなんでしょう?
胃透視検査のときに飲まされるドロドロしたバリウムのほとんど(98%程度)は硫酸バリウム(BaSO4)という金属で、残りはアルギン酸ナトリウムやソルビン酸などの添加物です。
従って金属アレルギー体質の方はバリウム検査はできません。
硫酸バリウムは水にほとんど溶けません。石膏と同じですね。
石膏は水を加えて木型などに流し込んで放置すると水分が蒸発してカチカチに固まります。
バリウムの主成分である硫酸バリウムも腸内で水分が吸収されると固まってしまいます。
そうなると当然便秘になり、ひどくなると更に次のような事態が起きる可能性があります。
◆ 消化管穿孔(しょうかかんせんこう)
固まったバリウムが消化管を傷つけ、穴が空いてしまった状態です。
急激な腹痛が起き、大量出血したり敗血症(全身に炎症性反応を起こす重篤な感染症)を引き起こしたりする危険な状態で、治療には外科手術を要します。
◆ 腸閉塞(ちょうへいそく=イレウス)
固まったバリウムが詰まって腸がふさがれてしまった状態で、腹部の膨満感とともに腹部全体に激痛があり、吐き気や嘔吐を繰り返します。
ひどくなると腸の内容物が逆流し、ゲップや嘔吐物に便のにおいがするようになることもあり、バリウムが原因で腸閉塞になり死亡した例もあります。
腸閉塞が自然に治癒することはほとんどなく、多くの場合には超音波で石を砕く尿道結石を取り除くのと同じ方法で固まったバリウムを砕いて体外に排出します。
◆ 腹膜炎(ふくまくえん)
消化管穿孔や腸閉塞が引き金となって腹膜炎を起こすこともあります。
腹膜という腹腔内を包む膜が炎症を起こした状態で、急激な激しい腹痛、吐き気、嘔吐などの症状が起き、腹痛は最初は限定的なものですが、次第に腹部全体に広がっていきます。
基本的な治療方法は外科手術です。
バリウムが長期間体外に排出されないことで、これまで怖くなってしまうような症状のことばかり書いてきましたが、実際にバリウム検査後の消化管穿孔や腸閉塞で死亡した方もみえます。
特に高齢の方は胃腸の働きが弱くなっていますので注意が必要です。
バリウムが出ないときは?
バリウムは固まりやすく早く体外に排出しないと消化器内で詰まってしまい、その後に食事をして胃で消化されたものも詰まってしまいます。
そのためバリウム検査後に下剤を渡されます。
下剤の効果は通常半日後くらいに現れてきますが、下剤を飲んでから半日も1日もバリウムが排出されない場合にはそれなりの対処が必要で、便秘の対応と似たものになります。
1.水を大量に飲む
下剤を渡されるときに「水をたくさん飲んで下さい」と言われるんですけど、ついつい忘れがちになってしまいますね。
そんなときには出ないと分かってからでもいいので水をたくさん飲むようにします。
飲む量の目安は1日2リットル以上で、ジュースやコーラなどではなくて純粋な水、できれば硬度の高い水のほうが効果があります。
2.油分を摂る
油は腸の内部の滑りを良くするので便が排出されやすくなります。
おすすめはオリーブオイルで、含まれているオレイン酸が腸を刺激してさらに便の出が良くなります。
少ない量だと吸収されてしまって効果はあまりないので、少なくとも大さじ一杯くらいを一度に飲むようにします。
3.食物繊維をたくさん摂る
食物繊維が便秘に効果があることは知られていますが、注意すべき点があります。
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、固まったバリウムを排出するには水溶性食物繊維を摂るようにします。
水溶性食物繊維は水に溶けてドロドロになるので、バリウムを押し出すのに有効で、こんにゃくやわかめ、もずく、納豆などに多く含まれます。
逆に不溶性食物繊維は水に溶けず消化しずらいので、便を固くしてしまう方向に働くので避けるようにします。
不溶性食物繊維を多く含む食品には、ごぼう、いんげん豆、干しきくらげなどがあります。
4.再度下剤を飲む
渡された下剤を飲んでも水分をたくさん摂らなかったりしてバリウムが排出されないときには、再度下剤を服用するのもひとつの方法です。
ですがこの場合には下剤が効きすぎて下痢になってしまうことがあり、用量については十分に注意する必要があります。
それでも出ないときは?
何をやってもバリウムが出ないまま4日も5日も経過してしまった場合には、これはもう医療機関のお世話になるしかありません。
その場合に受診するのは内科、胃腸科、消化器内科です。
腹痛や嘔吐などがある場合には手術ということも考えられますので、医療設備の整った大きな病院に行かれることをおすすめします。
まとめ
バリウムが長いこと出ないときに危惧されること
- 消化管穿孔
- 腸閉塞
- 腹膜炎
バリウムが出ないときにはどうする?
- 水を大量に飲む
- 油分を多めに摂る
- 水溶性食物繊維を摂る
- 再度下剤を飲む
どうしても出ないときは?
- 医療機関で診察を受ける
私は会社に入って最初の健康診断のバリウム検査で渡された下剤を飲んでひどい下痢になってしまいました。
翌年は下剤を飲まないようにしたら、今度は便秘になってしまって3日間も出ず、死ぬような思いでようやく出すことができた、ということがありました。
私は社会人になってしばらくして胃潰瘍を患って以降、胃が変形してしまってそれ以降はバリウム検査の結果は「要精密検査」と出てしまうので、それ以降はバリウム検査はせずに胃カメラの検査を受けるようにしてますので、もうバリウムを飲むこともありません。
でも奥さんはバリウム検査のあと、バリウムがなかなか出ないと悩んでます。
バリウムが排出されずに腹痛や吐き気などがある場合には、手遅れになる前にお医者さんに行きましょう。
消化管穿孔になってしまうと人工肛門をつけなければならなくなってしまうようなこともあるようですよ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。