友人なんかと泊りがけの旅行に行ったとき、同室になった人のいびきがすごくて目が覚め、それからなかなか眠れなかったということはありませんか?
特に「ゴォー、ゴォー」とものすごいいびきをする人と一緒に寝ていると必ず目が覚めてしまいますね。
そのとき必ず思うのは「どうしてこの人は自分のいびきで起きないんだろう?」ということです。
私は専門家ではありませんが、今回はそんなところについて考えてみました。
睡眠の深さが関係している?
自分のいびきで目が覚めないのは熟睡しているからだ、ということを言う人がいます。
深い眠りに入っているときは脳も休んでいるので、いびきをかいたとしても音として認識しないということです。
本当にそうなんでしょうか?
どんなに熟睡していても耳元で大きな音を立てれば目が覚めます。
人の睡眠はまず浅いレム睡眠から始まり、続いて深いノンレム睡眠に入り、またレム睡眠に戻ります。
いびきは何らかの原因で狭くなった上気道を、呼吸した空気が通る際に粘膜が振動して起きるので睡眠の深さに関係なくかきます。
私の知人にものすごくいびきがひどい人がいて、その知人は横になったかと思ったらすぐにいびきをかき始めます。
浅いレム睡眠のときからすごいいびきをかいているのに、その知人は自分のいびきで目が覚めたことはあまりないと言っています。
ですから、自分のいびきで目が覚めないのに睡眠の深さは関係ないと思われます。
いびきは聞こえ方が違う
空気伝導
私達が普段聞いている音は、空気の振動が鼓膜に伝わってさらに奥の耳小骨を振動させて蝸牛という器官に届き、そこから聴神経を通って脳に伝わります。
これを空気伝導といいます。
ですから、耳をふさいで空気の振動をシャットアウトしてしまうと音は聞こえなくなります。
骨伝導
ここで試しに両方の耳をふさいでみてください。
外からの音は聞こえなくなりますね。
その状態で声を出すか、いびきをかくまねをしてみてください。
声もいびきも少し小さくなりますがちゃんと聞こえますね。
これは、声やいびきが空気伝導ではなく別の聞こえ方で聞こえているからです。
それが骨伝導というしくみで、蝸牛に振動を届けるのを骨を振動させて行っているのです。
録音した自分の声が変なふうに聞こえるのも、普段の自分の声は骨伝導で聞いているからです。
空気伝導で聞こえるのは外部からの音で、骨伝導で聞こえるのは身体内部からの音ということになります。
ところで、大昔の人間はライオンやトラなどと同じ野生動物に過ぎず、人間をエサにしてしまう肉食動物はたくさんいました。
そのため、人間の身体は寝ていても近くで肉食動物の足音がするなどの緊急事態になれば目が覚めるようにシステム化されています。
また、こどもの鳴き声がすれば親として放っておくわけにはいきません。
空気伝導で聞こえてくる外部の音には神経を尖らせていたわけです。
ところが、骨伝導で聞こえてくるのは身体の内部から発生している音なので、睡眠中はそれほど神経質になる必要もないようにプログラミングされているのでしょう。
だからいびきをかいている人は自分のいびきでは目が覚めないのだと思います。
自分の声も骨伝導で聞こえているので、自分の寝言で目が覚めないのも同じ理由だと考えます。
たまに自分のいびきで目が覚めたという人がいますが、それはいびきの音で目が覚めているのではなくて、上気道がいよいよ狭まくなって呼吸ができなくなり、苦しくなって目が覚めているのではないのでしょうか。
そしてそのときちょうどいびきをかいていたので、自分のいびきで目が覚めたと思っているのではないのでしょうか。
私はいびきをかいていた人が喉の奥の方から何とも表現できない音を出してから目覚め、「いびきで目が覚めた」と言ってたのを何回も聞いていますから多分そうだと思います。
自分のいびきで目が覚めないのは、普段聞いている音と自分のいびきでは聞こえ方が違うからなのではないでしょうか。
終わりに
他人のいびきは気になるものです。
自分がウトウトしているときには特にそうです。
軽いいびきならツンツンとつついてやれば治まりますが、「ゴォー、ゴォー」という激しいいびきには注意が必要です。
睡眠時無呼吸症候群や蓄膿症、副鼻腔炎などの病気の可能性があるからです。
いびきは本人は分かりづらいものですから、一緒に寝ている人のいびきがすごいときには病院で診察を受けるよう助言してあげたほうがいいでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。