赤ちゃんだったころの記憶ってほとんどと言っていいほどありません。
私の小さいころの一番古い記憶は、保育園のときに私より小さい従姉妹を母親が抱っこしていたという記憶です。
赤ちゃんだったころの記憶がないのは私だけかと思ってましたが、聞いてみるとどうやらみんなそのようです。
赤ちゃんのころの記憶がないのは何故なのか、気になったので調べてみました。
赤ちゃんも記憶はする
3歳くらいよりも前の記憶を覚えている人はほとんどいないそうで、これを幼児期健忘といい、精神分析学の生みの親と言われたジークムント・フロイトによって名付けられました。
それでは幼児は記憶ができないのかというとそうではなく、研究によると、人の場合は生後3ヶ月で一週間、生後4ヶ月では二週間ほど記憶があることが分かっています。
それどころか、胎児のときさえ記憶することができるとされています。
(参照:https://psych.or.jp/interest/ff-25/)
赤ちゃんは記憶できないわけではないんです。
幼児は学習能力が未発達
記憶がどうやって行われるかというと、私達に起きた体験は電気信号に変換され、脳内のニューロンネットワークを伝わって、記憶領域に保管されると考えられています。
記憶は初めに短期記憶の領域に保管され、その記憶は意識したりして復唱することで長期記憶領域に移動して記憶として定着します。
長期記憶領域に移動しなかった記憶はすぐに消えて忘れられてしまいます。
例えば初対面の人に会って名前を聞いたとき、会った目的が大したものでなかったときや、会った人が特に印象に残る人でなかったときは、その人の名前はすぐに忘れてしまいます。
逆に重大な要件で会ったとか、会った人がイケメンや美人だったときには、その人の名前は高い確率で覚えてますね。
これは会ったときから、心の中でその人とのことをイケメンだとか美人だとか反復しているからです。
とこらが乳幼児は学習能力が未熟なため、短期記憶が長期記憶に移行しないのではないか、と考えられています。
ここでいう学習とは、いわゆる勉強のことではなく、自分の身の回りに起きたことがどんな意味合いをもっているかがわかるということです。
上の例で言えば、赤ちゃんは自分をあやしてくれた人がイケメンか美人かは分からないから、その人を覚えていないということです。(適切な例えではありませんが。)
新しいニューロンネットワークが思い出すことを阻害
ニューロン同士はシナプスという接合部分で結ばれ、電気信号が到達するとシナプス間で神経伝達物質が放出されて情報が伝わります。
生まれたばかりの赤ちゃんには大人と同じくらいの数のニューロンがあると考えられていて、生まれてからできるシナプスで脳が発達するとされています。
そしてそのシナプスの生成速度はすさまじく、生後6ヶ月から1年位までの間で人生最大になると言われています。
短期間のうちに多くのニューロンネットワークができ、記憶したことを思い出そうとしてもどのネットワークを使ったらいいか分からない、という状態におちいってしまいます。
人の脳をコンピューターに例えると、記憶領域はハードディスクです。
ハードディスクに記憶させたことを引っ張り出そうとするときには、何かしらのキーワードを打ち込んで検索しますね。
そのキーワードが正確でないと希望するものは何も引っ張り出せないのと同じです。
幼いころの記憶がほとんどない理由は、この新しいニューロンネットワークが思い出すことを阻害しているという説が有力視されています。
まとめ
幼いころの記憶がない理由
(赤ちゃんは記憶ができないわけではない)
- 幼児は学習能力が未発達(長期記憶ができない)
- 新しいニューロンネットワークが思い出すことを阻害している
幼いころの記憶がない理由はここでご紹介した以外にもいろいろ考えられていて、完全には解明されていません。
今まで一度も思い出さなかったことを、フラッシュバックのように思い出したという人も多いと思います。
なかには、ベビーベッドに寝かされて天井からぶら下がっていたクルクル回るオモチャをはっきり覚えているとか、子守唄代わりに聞かされた音楽を覚えているという人もいます。
また、大人になってから命の危機にさらされたとき、例えば交通事故にあったときなど、その前後の記憶がまったくないという人もいます。
記憶って本当に不思議ですね。
どうせなら幸せな記憶だけずっと残ればいいのにね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。