牛乳は体にいいのか悪いのか 本当はどっち?

私は牛乳を毎日コップ2杯くらい飲んでますが、最近「牛乳は体に悪い」というようなことが言われるようになって驚いています。

体にいいと言われてたのが急に逆だと言われてびっくりです。

この点について調べてみると、真っ向から対立するような説がいっぱいあります。

「本当はどっちなんだ~!」と叫びたくなるような気持ちなんですけど、本当はどっちなんでしょうか。

牛乳が体に悪い理由とその反論

乳糖不耐症

人間に限らず、哺乳動物は生まれてからしばらくの間は母親からの乳(母乳)だけで栄養を補給します。

母乳の中にはエネルギー源となる糖は乳糖(ラクトース)という形で含まれ、そのラクトースを消化する酵素がラクターゼです。

赤ちゃんが生まれてくるときには体内でラクターゼが分泌されているのですが、時間とともにその量は減っていき、成人になるとほどんど分泌されないか、分泌されてもごくわずかになってしまいます。

これは成長するにつれて食べ物が大人と同じようになり、エネルギー源は他の食品から摂取するようになって乳糖が必要なくなるからです。

牛乳にはラクトースが含まれ、ラクターゼがないのに牛乳に含まれるラクトースが体に入ってくると消化されないため、腹痛や下痢を引き起こします。

これが乳糖不耐症です。

日本人の8割以上が乳糖不耐症なので、多くの人は牛乳を飲むと体に不調が現れるということです。

反論

これに対して、乳糖不耐症で牛乳を飲んでお腹の調子が悪くなる人はそれほど多くないという説があります。(引用:https://www.j-milk.jp/knowledge/food-safety/uwasa16.html)

人を対象とした実験では、700mlの牛乳を飲んだ場合には下痢を起こす人はゼロで、1200mlの牛乳を飲んだ場合には50%以上の人が下痢を起こしたとのことです。

しかし、牛乳は冷蔵庫で保存されていますね。

冷たい飲み物を一度に1200mlも飲めば、牛乳でなくてもお腹をこわします。

また、牛乳を飲んだあとのことについての調査では、いつもお腹の調子が悪くなる人は7%で、いつもではないがなるという人が13%でした。

乳糖不耐症で牛乳を飲んでお腹に不調が現れるの人はそれほど多くはないということになります。

実際、私が小学生の時に牛乳を飲めない子はクラスに1人で、中学生のときはゼロでした。

このことからしても、「日本人の8割以上は乳糖不耐症で牛乳が飲めない」というのはにわかに信じられない気がします。

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牛乳を飲むと骨粗鬆症のリスクが高まる

北欧の人々は日本人の数倍もの牛乳や乳製品を摂取していますが、スウェーデンのコホート研究の論文によると、女性の場合には一日3杯の牛乳を摂取すると骨折(原因は骨粗鬆症)のリスクが高まるという発表がなされました。

カルシウムは人体では作れないので外部から摂取する必要がありますが、カルシウムはリンと結合しやすく、結合するとリン酸カルシウムとなって体外に排出されてしまいます。

リン酸カルシウムが体外に排出される時、骨となっているリン酸カルシウムも一緒に出ていってしまうので骨密度が低下して骨粗鬆症のリスクが高まるということです。

反論

骨を作るのにカルシウムは不可欠の栄養素ですが、カルシウムも体に吸収されなければ何の意味もありません。

カルシウムの吸収を助けるのがビタミンDで、ビタミンDは紫外線を浴びることで体内で生成されます。

北欧など高緯度の地域では日照時間が短く、紫外線量が少ないためにビタミンDの生成量も少なくなり骨折リスクが高くなるのだと言われています。

さらに、スウェーデンの牛乳にはビタミンAが添加されていて、ビタミンAは摂りすぎると骨折しやすくなることが分かっています。

このことから、コホート研究の論文の内容がそのまま日本人にも当てはまるということは言えないと考えられます。

また、リンは動物にとってに代謝に関わる必須の成分です。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によると、カルシウムの一日の推奨摂取量は成人男子で668mgから778mg(年代別によって違う。女性は629mgから662mg)となっています。

また、リンは一日の推奨摂取量は規定されていなくて、目安量として成人男性が1000mg、成人女性が800mgとなっています。

(引用:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000114400.pdf)

カルシウムよりリンを多く摂らなければいけないようですね。

それではコップ1杯(200ml)の牛乳にカルシウムとリンがどれだけ含まれているかというと

  • カルシウム 228mg
  • リン 182mg

リンのほうが少ないんです。

牛乳を一日に3杯飲んだとしても、リンの摂取目安量には届かず、牛乳によってリンの過剰摂取になるとは考えられません。

また、牛乳は体に悪いから牛乳以外の食品からカルシウムを摂ろうとすると、イワシの丸干しなら5尾以上、小松菜なら450g以上も食べなければ一日の推奨摂取量に届きません。

これだけの量は現実的ではありませんね。

もちろん単一の食品だけからカルシウムを摂取するわけではないんですけど、カルシウムの供給源として気軽に飲める牛乳は外せないのではないのでしょうか。

牛乳はがんの原因になる

牛乳は妊娠中の雌牛からも搾乳されるため、その牛乳の中には女性ホルモンが含まれます。

女性ホルモンのうちのエストロゲンは、乳がんの発生に影響を与えてがん細胞を分裂・増殖させるため、牛乳を飲むと乳がんのリスクが高まる。

また、牛乳に含まれるインスリン様成長因子1(IGFー1)というホルモンは細胞分裂を促進するため、がん細胞が増殖する。

反論

牛乳に含まれるエストロゲンの量はごくわずかで、人体に影響を及ぼすような量ではない。

(アメリカは雌牛に成長ホルモン注射をしているので危険はありますが、日本では成長ホルモンの投与は禁止されています。)

IGFー1にしても搾乳後に行う高温殺菌処理によってほとんど検出されないほどまでに減少します。

仮に残ったとしても体内で分泌される量に比べ、極めて微量です。

逆に、カルシウムが大腸がんのリスクを軽減することが明らかになり、カルシウムの吸収を助けるビタミンDとの同時摂取がその効果を更に高めます。

カルシウムとビタミンDを多く含む牛乳が大腸がんのリスクを低下させる、ということはほぼ確実だとみられています。

結論

牛乳が体にいいのか悪いのかについて最終的な結論は出ていない

日本で牛乳が普及し始めたのは1954年に学校給食法が施行されてからです。

それから半世紀以上経過して科学も進歩したのに、牛乳については賛否両論あって困ってしまいます。

私は今までほとんど毎日牛乳を飲んできて大丈夫でしたから、これからも飲むのをやめないと思います。

でも、どんなにいいものでも「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。

牛乳の過剰摂取にならないよう気をつけなければいけないです。

いろんな情報が乱れ飛んでいるなか、政府が国民のために利害関係を抜きにして徹底的に調査して欲しいものだと思います。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。