昔から日本人の食生活には醤油や味噌、納豆などを通じて「畑の肉」と言われている大豆が深く関わってきました。
日本人の平均寿命が世界でもトップクラスにあるのはこの大豆によるところが大きいと考えられていますが、具体的に大豆にはどんな栄養がどれくらい含まれているのか理解している人は少ないのではないでしょうか?
そこで今回は、大豆の栄養について調べてみました。
そして、大豆を早いうちに収穫した枝豆の栄養は大豆とどのように違うのかについてもご紹介します。
大豆の栄養
完全栄養食に近いと言われている大豆100g中の成分は、タンパク質が33.0g、炭水化物が28.8g、脂質が21.7gと、三大栄養素がバランス良く含まれています。
動物性タンパク質は悪玉コレステロール(LDL)を増やして以上脂質症を引き起こして動脈硬化の危険性を高めますが、良質の植物性タンパク質である大豆タンパクはLDLを減らしその危険性を低減してくれます。
また、これはちょっと意外なんですけど大豆には食物繊維も豊富に含まれていて、その量はごぼうやパセリよりも多いほどなんです。
便秘に悩む人にはうれしい食べ物ですね。
そして、大豆の成分の中で女性に特にうれしいのがイソフラボンです。
イソフラボンには女性ホルモンのエストロゲンと同じような作用があり、バストを大きくする、若々しい美肌を作る、骨を丈夫にして骨粗鬆症を予防するなど、女性特有の悩みの解消に効果が期待されています。
年齢を重ねるほど分泌が減ってしまうイソフラボンを補うためにも、イソフラボンは積極的に摂りたい成分です。
ただし、イソフラボンを過剰摂取するとエストロゲンが過剰分泌されたのと同じ状態になり、ホルモンバランスが崩れると考えられます。
そうなると生理不順、PMS(月経前症候群)、乳がんなどの危険性が高まります。
そのため食品安全委員会の指針では「一日のイソフラボンの総摂取量を70~75mg、そのうち特定保健食品(トクホ)からは30mgにおさめることが望ましい」とされています。
とは言え、平均的な日本人の一日のイソフラボン摂取量は20mg程度で、指針量の三分の一にも届きません。
普通の食生活を送っていれば、イソフラボンの過剰摂取はあまり心配する必要はないかもしれませんね。
大豆と枝豆の栄養の違い
枝豆は大豆がまだ未成熟のうちに収穫したものです。
私も家庭菜園で枝豆を栽培したことがありましたが、収穫前にイノシシに全部食べられてしまいました・・・トホホ(;_;)。
青々した色から栄養も大豆よりいっぱいありそうな感じなんですけど、実はそうではないんですね。
次に大豆と枝豆のおよその栄養の含有量を表にまとめました。
100g当りの含有量 | ||
大豆 | 枝豆 | |
エネルギー | 433kcal | 135kcal |
食物繊維 | 17.1g | 10.1g |
ビタミンA | 12mg | 110mg |
ビタミンB1 | 0.83mg | 0.32mg |
ビタミンB2 | 0.3mg | 0.16mg |
ビタミンC | なし | 30mg |
ビタミンE | 24.8mg | 9.9mg |
カリウム | 1900mg | 590mg |
カルシウム | 180mg | 58mg |
マグネシウム | 220mg | 62mg |
リン | 490mg | 170mg |
鉄 | 6.8mg | 2.7mg |
亜鉛 | 3.1mg | 1.4mg |
イソフラボン | 140mg | 30mg |
このように大豆と枝豆では含まれる栄養素が随分違います。
エネルギーは枝豆のほうが三分の一ほど少ないので体型を気にする人にはうれしいですね。
イソフラボンは大豆のほうが枝豆より4倍以上も含まれていますが、大豆を煮てしまうと半分程度に減ってしまいます。
それでも70mgあるわけですから十分な含有量です。
大豆を使った食材
日本人は昔から大豆を使って実に様々な食材を作ってきました。
ここではその食材とイソフラボンの含有量をご紹介します。(大豆の種類によって多少の変化はあります。)
◆豆腐
冷奴やお味噌汁、鍋物にといろんな料理に使われるお馴染みの豆腐。
木綿豆腐と絹ごし豆腐があります。
(参考:木綿豆腐と絹ごし豆腐の作り方の違い!栄養素や味も違う?)
イソフラボン含有量:1丁(300g)で約60mg
◆納豆
関東地方でよく食べられていて、動脈硬化の予防に効果があると言われています。
イソフラボン含有量:1パック(45g)で約35mg
◆味噌
蒸し煮した大豆と米や大麦をこうじ菌で発酵させて作ります。
イソフラボン含有量:100gで約20mg
◆醤油
丸大豆や脱脂加工大豆、小麦を原料にしてこうじ菌で発酵・塾生させて作ります。
イソフラボン含有量:100gで約1mg
◆豆乳
大豆を水に浸してふやかし、すりつぶしてから搾ったもので、ニガリで固めれば豆腐になります。
イソフラボン含有量:200mlパック 無調整豆乳・約70mg 調整豆乳・約50mg
◆おから
豆乳を絞った絞りかすなので、イソフラボンは少なくなっています。
イソフラボン含有量:100g中10.5mg
◆油揚げ
木綿豆腐を薄く切って水分を絞り、油で揚げたものです。
豆腐と油揚げの味噌汁は定番ですね。
イソフラボン含有量:100g中39.2mg
◆きな粉
煎った大豆はイソフラボンが多くなり、煎った大豆を粉にしたきな粉もイソフラボンを多く含みます。
イソフラボン含有量:100g中266.2mg
こうして見てくると、イソフラボンの含有量はきな粉がダントツなんですが、きな粉を100gも食べるなんて現実的ではないですね。
普段食べるもののなかでイソフラボンの含有量が多いのは豆腐か納豆でしょう。
納豆はあのネバネバが何とも鬱陶しいんですけど、栄養たっぷりで必須アミノ酸もすべて含んでいます。
値段も安いですし、頻繁に食べられる食材ですね。
終わりに
大豆は実にいろいろな食材に応用されて食べられてきました。
これは毎日同じものばかり食べていては飽きてしまうから、毎日大豆を食べられるようにいろんな食材を考えだした先人の知恵でしょう。
また、いろんな食材を食べることで栄養の偏りも防ぐことができます。
不足するビタミンCは野菜を食べることで補えます。
栄養たっぷりの大豆をいろんな食材で楽しみましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。