先日久しぶりに天ぷらを作ろうと思って台所の収納棚を調べたら、小麦粉が少なくなっていました。
買わなきゃと思っていながら忘れていたんです(年齢のせいかなぁ)。
あわててスーパーに行ってみると、陳列棚には小麦粉の他にも天ぷら粉や薄力粉と書かれたものなどがたくさん置いてありましたが、小さい頃によく聞いたうどん粉という名称の商品はありませんでした。
そこで今回は、天ぷら粉や小麦粉、うどん粉、薄力粉などの違いについて書こうと思います。
天ぷら粉と小麦粉の違い
これはもう、商品の原材料を見たら一目瞭然でした。
小麦粉
小麦粉はその名の通り、小麦を挽いて作った粉のことです。
原材料名は小麦だけで、商品名は◯◯薄力小麦粉となっていました。(◯◯はメーカー名です)
そして、小麦粉の使用用途として
- お好み焼き
- 天ぷら
- お菓子
- うどん
- スポンジケーキ
が書かれていました。
ほかにも、クッキーやケーキ、ドーナツなどに使えますね。
天ぷら粉
天ぷら粉は小麦粉にでん粉や卵黄粉、ベーキングパウダーなどを添加したものです。
そして、この商品の説明文には次のように書いてありました。
- 水で溶くだけ カンタン
- 冷めてもサクサク
- 冷水は不要
- 電子レンジで温めてもカラッとおいしい
小麦粉を使って天ぷらの衣を作るときには、ふるいにかける、冷水を使う、卵を入れるなど結構手間がかかります。
天ぷら粉は添加物を加えることにより、そういった手間をかけることなくカラッと美味しい天ぷらの衣を作ることができるというわけです。
天ぷら粉は主原料は小麦粉なんだけれども、天ぷらを美味しく簡単に揚げるために添加物を加えたものであるということです。
小麦粉にもいろいろある
上の画像の小麦粉の商品名は薄力小麦粉となっていましたが、小麦粉には大きく分けて次の三つの種類があります。
- 薄力粉(はくりきこ)
- 中力粉(ちゅうりきこ)
- 強力粉(きょうりきこ)
この分け方はどういった理由によるものなんでしょうか。
小麦粉はほとんどが料理に使われますね。
小麦粉をそのまま具材につける料理は少なく(ピカタやムニエルくらいかな?)、多くは水を加えて練って使います。
小麦粉を水で練ると弾力性や粘りが出ますが、そのもとになるのがグルテンというタンパク質です。
タンパク質の含有量が多いと弾力性が強く、逆に少ないと弾力性の低いサラッとした感じのものになります。
小麦粉の分類は、タンパク質の含有量の違いによってこのように分けられているんです。
薄力粉
小麦は、タンパク質の含有量によって含有量の少ない軟質小麦、含有量の多い硬質小麦、その中間の中間質小麦に分けられ、薄力粉は軟質小麦を使って作られます。
薄力粉のタンパク質の割合は8.5%以下で、キメが細かい小麦粉です。
粘り気が少ないためもちもちとした食感はなく、サクサクした食感のものやふんわりとした食感のものを作るときに最適な小麦粉です。
用途としては、クッキーやケーキ、天ぷらや唐揚げなどが適しています。
日本での流通量が一番多い小麦粉です。
強力粉
強力粉は硬質小麦を原料として作られます。
タンパク質の含有量は12%以上で粘性と弾力性が高いため、パン、ピザ生地、パスタを作るのに適した小麦粉です。
中力粉
中間質小麦と軟質小麦から作られるのが中力粉で、タンパク質の含有量は9%程度です。
薄力粉と強力粉の中間の性質を持っているため、ふんわりとしていても粘り気があるという独特の食感のものが作れます。
なので、腰のあるうどん、お好み焼きやたこ焼きに適した小麦粉です。
うどん粉とは?
うどん粉とはこれまで見てきたように、うどんを作るのに適した小麦粉、つまり中力粉のことです。
ただ、薄力粉や強力粉に比べて流通量が少ないため、スーパーなどでは手に入りにくいという難点があります。
(最近は通販が一般化しているので、アマゾンなどでうどん粉と検索すれば購入できるんですけどね。)
うどん粉が手に入らないときには、タンパク質が9%程度になるように薄力粉と強力粉を混ぜればオーケーです。
例えば、タンパク質が8%の薄力粉と12%の強力粉なら、薄力粉100gと強力粉30gでタンパク質の含有量は8.9%になります。
メリケン粉という呼び方も
私は学生時代を関西で過ごしたんですけど、関西ではうどん粉のことをメリケン粉という呼び方をする人が多かったような気がしました。
当時の私はメリケン粉の使い方を見て「これはうどん粉だな」と思ったんですが、「名前が違うから何かが違うんだろう」くらいしか感じてませんでした。
でもいろいろ調べていると、うどん粉とメリケン粉は作った国によって区別するための名前だということが分かりました。
その昔、日本では水車かあるいは石臼を使って小麦を挽き、うどん粉を作っていました。
ところがこの方法では精製技術が低いため、粉の色も褐色を帯び、粒度も荒かったんです。
明治になって日本であんぱんが発明されて以降、日本にも本格的なパン食の文化が広まり始めますが、それまでの日本のうどん粉はパンには不向きでした。
一方、明治のはじめころにパン用として輸入されたアメリカ産の小麦粉は機械化されて精製技術が高く、色が白くて品質も日本のものより格段に良いものでした。
そこで同じように小麦を挽いたものでも日本産のうどん粉と区別するために、アメリカから輸入されたものがメリケン粉と呼ばれるようになったそうです。
「アメリカの」という意味の「American」の発音(əmérɪk(ə)n)がメリケンと聞こえたので、メリケン粉となったんです。
メリケン波止場と同じですね。
今では日本の小麦の精製技術も上がって品質の高いうどん粉が作れるようになり、メリケン粉という呼び方も段々と消えていってしまっています。
そういえば私の祖母もメリケン粉と言っていたのを覚えています。
メリケン◯◯というのは古い言い方なんですね。
どうして関西では今だに使われているのかは分かりませんが。
まとめ
- 小麦粉は小麦を挽いて作った粉のこと
- 天ぷら粉は小麦粉に添加物を加えた天ぷら用の粉
- 小麦粉には、薄力粉、強力粉、中力粉がある
- うどん粉はうどん用の小麦粉、つまり中力粉のこと
- メリケン粉とは日本産のうどん粉と区別するための名称だった
これまでは天ぷら粉も小麦粉もそんなに違わないものだと思っていました。
まして、小麦粉にいろんな種類があるなんて全く知らず、天ぷらやお好み焼き、うどんやスパゲティにするときは加える水の量によるんだと思ってました。
これからは天ぷらを揚げるときには簡単にできる天ぷら粉を買うようにしようっと。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。