
最近は食品加工の技術が進歩して、多くの食品が旬でなくても食べられるようになりました。
でも、やっぱり旬のものはその時期に食べるのが一番美味しいです。
秋が旬の食べ物はいっぱいあり、銀杏もそのうちのひとつですね。
だけど、銀杏には毒があると聞いたことがあります。
茶碗蒸しに入っている銀杏は1個か2個くらいなんですが、何個までなら食べても大丈夫なんでしょうか。
銀杏の毒ってなに?
銀杏で中毒を引き起こす物質は4-O-メチルピリドキシンという聞いたことのないような化合物で、ビタミンB6と構造がよく似ているため、多量に摂取すると体内でのビタミンB6の生成が阻害されて中毒症状が現れると考えられています。
(銀杏中毒の治療にはビタミンB6を投与すると劇的に回復するそうです。また、4-O-メチルピリドキシンは熱に強いので、焼いても煮てもその性質が変わることはありません。)
ビタミンB6は最近よく耳にするようになったGABAという神経伝達物質の生成に関わっていて、ビタミンB6が不足するとGABAの合成ができなくなり、痙攣などの症状が現れることもあるとのことです。
(公財)日本中毒情報センターによると、銀杏中毒の発生数はそれほど多くないものの、毎年数十件は報告があるそうで、月別に見ると10月から翌年3月にかけての発生が多いそうです。
秋に多く出回る銀杏ですが、寒い時期を通して発生するみたいです。
茶碗蒸しや鍋料理など、冬の料理によく使いますからね。
銀杏は何個までなら食べてもいい?
銀杏中毒を起こすのは5歳未満の小児が一番多く、報告されている事例のうち70%以上が10歳未満のお子さんです。
何個食べると中毒を起こすのかという量は特定されていません。
あまり参考にはならないと思いますが、これだけ食べたら中毒になったという次のような目安はあります。
- 小児 7~150個
- 成人 40~300個
参考にならないと書いたのは非常にバラツキが多いためで、これは本人の持つビタミンB6の量が関係しているからです。
ビタミンB6は次のような食品に多く含まれていますが、これらの食品をあまり食べないという人は気をつけたほうがいいかもしれませんね。(食品名の後ろの数値は100gあたりの含有量mg)
- かつお 0.85
- まぐろの赤身 0.76
- 鶏レバー 0.65
- サケ 0.64
- 鶏のささ身 0.6
- 豚ヒレ肉 0.54
- バナナ 0.38
- 赤パプリカ 0.38
- さつまいも 0.26
- 玄米ごはん 0.21
(参考:https://www.weider-jp.com/protein/columns/detail/?id=96&category=beauty)
また、成人は4-O-メチルピリドキシンを解毒する酵素を持っていますが、小児は解毒する力が未発達のため少しの量でも中毒を起こすのだと考えられています。
1個食べただけで中毒になったという例は報告されていないものの、数個で中毒症状が起きた小児がいたそうで、これまでに報告された約30の死亡例のうち、ほとんどが3歳以下の小児だということです。
さらに、食糧事情が悪かった戦中・戦後間もなくは銀杏の消費量も多く、記録はないものの多くの人が銀杏中毒になったそうです。
できることなら、10歳未満の子どもには何個であろうと食べさせないほうが賢明でしょう。
臭いところはアレルギーを持つ人には要注意
銀杏ってさくらんぼのように種の周りに軟らかい果肉のようなものがついてなっていますね。
この果肉のような臭いところを珠皮外層(しゅひがいそう)と言うんですけど、食べるのは珠皮外層を取り除いた種子の中身です。
皆さんは交差性反応(または交叉性反応)という言葉を聞いたことがありますか。
交差反応とは、ある特定の物質にアレルギーがあるとき、その物質とよく似た別の物質にもアレルギ反応を示すとき、交差性反応が起きたと言います。
珠皮外層にはビロボールという成分が含まれていて、ビロポールはウルシに含まれているウルシオールという物質と交差性反応があります。
また、ウルシオールはマンゴーやカシューナッツと相同性(形態や遺伝子の祖先が共通であること)のある成分を含むため、ウルシに触れたり、マンゴーやカシューナッツを食べてアレルギーを起こす人は、銀杏の珠皮外層にも注意が必要です。
ちなみに、銀杏の珠皮外層があんなに臭いのは、種子を動物に食べられないようにするためだそうです。
終わりに
銀杏は秋の訪れを感じさせてくれる味覚のひとつです。
これまでは、スーパーに並んでいるのを見ると買ってきて殻を取り、フライパンで炒めて塩をふってかなりの量を食べてました。
お酒のおつまみにもぴったりですしね。
でも、銀杏を食べすぎると中毒になることもあり、中毒死した人もいたなんでびっくりです。
今まではラッキーだったのかもしれません。
皆さんも銀杏を食べるときには量に注意して下さいね。
特に小さなお子さんには食べさせないことが一番ですよ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。