この歳になってくると中国産の食品は買わないなど、若いころと比べて口にするものには少し敏感になってきますね。
食べ物に関するいろんな情報を耳にする昨今ですが、ここ数年スクラロースが危ないという話をよく聞くようになりました。
食品の安全性ということは放っておけない問題なのでいろいろ調べてみたところ、「スクラロースは猛毒だ」とか「いや、そんなことはない」など極論や感情論がいっぱいです。
本当のところはどうなのか?ここではそんないろんな意見を元にした私なりの考察をご紹介します。
スクラロースとは?
そもそもスクラロースって何か知らない人もいるのではないでしょうか?
私の奥さんに聞いても知りませんでした。
スクラロースは砂糖を元に開発された人工甘味料の一種で、C12H19CL3O8という分子式を持ち、ショ糖(砂糖の主原料・・・ほぼ砂糖)の600倍の甘さを持つ物質です。
砂糖の600倍ってすごいですよね。
人工甘味料のウリはまさにここで、スクラロースも低カロリーでありダイエッターや甘いものを控えなければならない人にはうれしい甘味料なんです。
でも残念なことに一般消費者向けには販売されてなく、食品メーカーや飲料メーカー向けにしか販売されていません。
日本で規格や基準が定められて「販売していいよ」と食品添加物に指定されたのは1999年のことで、それほど古い話ではありません。
またスクラロースは砂糖などと違って体内で消化されず、口にしても通常はそのまま体外に排出されてしまいます。
スクラロースは危険?
スクラロースは農薬開発の副産物?
スクラロースは危険だということが書かれたサイトを見ると、ほとんどのサイトに「スクラロースは農薬を開発中に偶然発見された毒性の強いもの」と記載があります。
しかしいくら調べてもそのようなことが書かれた公式文書を見つけることはできませんでした。
一種の都市伝説ではないのでしょうか?
加熱すると塩素ガスが発生?
「スクラロースを加熱して138度を超えると有毒な塩素ガスが発生する」、これもスクラロースの危険性を訴えるサイトでよく見るフレーズです。
しかしどのサイトもその出所が明らかにされていません。
かって参議院厚生労働委員会で共産党の井上美代議員が「スクラロースを138度以上の高温で加熱すると塩素系のガスが発生する」と発言したのに対し、当時の遠藤明食品保健部長は「クッキーを210度で8分焼いても塩素を含む分解物は検出されなかった」と言っています。
この件についても真偽ははっきりしませんね。
動物実験では
食品添加物を認可するには厚生労働省による動物実験が必須で、スクラロースが危険だと言う人のなかには「動物実験の結果」をその根拠にしている方もいます。
スクラロースに関する厚生労働省の報告書によると、妊娠したウサギに700mg/kgの量を投与した場合に死亡あるいは流産した例が認められたとあります。
ただしそれはウサギの非特異性な影響であるとも書かれていて、つまりすべての動物に当てはまるものではないということです。
急性毒性試験ではウサギにその20倍以上のスクラロースを投与しても、死亡例はなかったと報告もされています。
この報告書には実験結果を踏まえて、スクラロースの無毒性量は1,500mg/kg体重/日とされています。
無毒性量というのは、これ以上摂取すると身体に害を及ぼすと考えられる量の半分の量のことです。
この無毒性量を元にその数値を安全係数の100分の1で割ったものがADI(一日許容摂取量)です。
体重64kgの私の場合には
- 無毒性量=1,500mg✕64kg=96,000mg=96g
- ADI=96g÷100=0.96g
ということになり、私の体重が変わらなければ1日に0.96gのスクラロースを毎日摂取しても毒性は現れないということです。
砂糖と比べたら?
64kgの体重の私の場合には、毎日0.96gのスクラロースを摂取しても大丈夫というのが厚生労働省のガイドラインなんですけど、これを砂糖に置き換えたらどうなるでしょう?
スクラロースは砂糖の600倍の甘さというのですから、砂糖で同じ甘さを得ようとしたら
- 0.96g✕600=576g ということになります。
とんでもない量ですね。
WHO(世界保健機関)はガイドラインで、砂糖によるカロリーの摂取量は全摂取カロリーの5%未満にすべきと呼びかけていて、これは量にするとおよそ25gにしか過ぎません。
500ml入りのコーラには54gの砂糖が入っていて、これだけでもすでにアウトです。
スクラロースの危険性を論じる前に、大量に砂糖を摂取している現状のほうが問題のような気がしますね。
もしもコーラを飲むとしたら
- 砂糖54g入のコーラ
- スクラロース0.09g入のコーラ
どちらを飲みますか?
ヤクルトは大丈夫?
スクラロースは砂糖に代わるカロリーオフの甘味料として急速に浸透し、スクラロース入りの飲み物も増えてきてます。
ヤクルトもそのひとつで、私もそうですが毎日飲んでいる人にとっては気になるところかもしれませんね。
しかしヤクルトを飲んで健康被害にあったという報告は知りませんし、ヤクルト本社の方も厚生労働省のガイドラインのことを知らないはずはありません。
またヤクルトは小さな子供も飲むので、スクラロースの配合量にも気を配っているでしょうからよっぽどたくさん飲まなければ大丈夫だと思われます。
ただスクラロースは自然界に存在しない合成甘味料なので、腸に入ると早く排出しようとしてお腹がゆるくなることもあるそうです。
ただでさえヤクルトはお通じを良くする働きがあるので、体質によってはヤクルトを飲んで下痢になる人もいるようで、そんな場合には控えるべきでしょう。
終わりに
インターネットが普及して今や誰でも何でもブログやサイトで情報を発信できる時代になりました。
しかし、いったいどれが本当の情報なの?とも思えるほど情報過多の時代であるとも思います。
スクラロースの問題も、情報の嵐のなかでどれが正しい情報なのか分からない状況です。
だけど調べてみた限りでは、「猛毒である」「少しでも口にしてはいけない」ことはないと言えます。
常識の範囲内で摂取している限りは問題ないでしょう。
そんなことを心配するエネルギーを使うことがもったいないです。
それよりもスクラロースを排除するあまり、砂糖をたくさん摂取することのほうが問題なのでは?思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
Sorry, I don’t understand English. Will you write in Japanese?