先日、町内で不幸があって葬式に参列してきました。
いつも思うことなんですけど、和尚さんに「合掌して下さい」と言われたときや、焼香するときに持つ数珠には正式な持ち方ってあるんでしょうか?
また家を出るときに数珠を忘れてあわてて取りに戻り、何とか葬儀には間に合いましたが、そのときに思ったのは「数珠って何のために持っていくの?」ということでした。
町内にはまだお年寄りが何人もみえ、今後も葬儀に参列する機会もありそうなので、数珠を持つときの正式な作法や数珠の意味について調べてみたのでご紹介します。
数珠の持ち方
本来の数珠は珠(たま)が108個ついている本式念珠とか本式数珠と言われるものですが、私たち一般人が持っているのは珠の数が少ないもので略式数珠と呼ばれ、その形は宗派によって違います。
ここでは略式数珠の持ち方について説明します。
略式数珠の持ち方も宗派によって違います。
◆浄土宗
両方の親指にかけて数珠を内側に回します。
浄土宗の正式な数珠は2連になっっていますが、略式の単輪のものでも持ち方は同じです。
◆浄土真宗
浄土真宗の数珠も2連のものと単輪のものがありますが、本願寺派と大谷はで持ち方が違います。
本願寺派
数珠を合唱した親指と人差し指の間にかけ、房を下にします。
大谷派
かけ方は本願寺派と同じですが、房が左側に垂れるようにします。
◆天台宗
数珠を両手の中指と人差し指の間にかけ、小指の外側に回して手を合わせます。
◆真言宗
数珠を右手の中指と左手の人差し指にかけて手を合わせます。
◆日蓮宗
数珠を両手の中指にかけて合掌しますが、数珠を真ん中で交差させます。
日蓮宗の数珠には二つと三つの房がついていますが、右手の方に二つ、左手の方に三つの房がくるようにします。
◆禅宗(曹洞宗・臨済宗)
数珠を左手にかけ、右手を合わせて合掌します。
単輪でも同じです。
数珠の持ち方にも実にいろんな作法があるんですけど、葬儀に参列したときに、故人の宗派に合わせるためにこれだけの作法を覚えておかなくてはいけないんでしょうか?
そんなことはありません。
故人のお宅の宗派を知るのは難しいですし、だいたいこんなに多くの作法を覚えられませんから、葬儀に参列したときには、自分の家の宗派の方法で行えばいいんです。
数珠の意味
葬儀や法要のときには深い意味も考えることなく数珠を持って行きますが、数珠を持つ意味って何なのでしょう?
人間には108の煩悩があって、数珠の珠のひとつひとつはその煩悩を司る仏様であり、人間の煩悩を数珠が引き受けてくれているのだ、という話がありますが、それなら仏事のときだけでなくいつも持っていればいいんじゃないかと思いますよね。
ほかにも数珠の意味についていろんな説があるなか、一番しっくりするのは「葬儀や法事に数珠を持っていくのは、故人への感謝と冥福を祈る心を増幅させるから」というものです。
これなら数珠の珠のひとつひとつが仏様の化身であり、「煩悩を引き受けてくれてありがとう」と、故人に感謝し冥福を祈る気持ちになり、何とか納得できますね。
葬儀や法要に喪服を着ていくのと同じように、数珠を持参するのは上のような理由があって、それが仏教徒としての証しであり作法になったというところではないのでしょうか。
お墓参りに数珠は必要?
お盆やお彼岸にはお墓参りに行きますが、そのときに数珠は持って行きますか?
私の家の場合は年に数回しかお墓参りに行かないので、行くたびにお墓の周りに雑草が生えていて、お墓参りに言ってもその時間の大半は草取りに費やされます。
そのため以前から無くしてはいけないと数珠は持って行ってませんでした。
でもお墓参りも故人への感謝と冥福を祈るものである以上、数珠は持って行くべきものでしょう。
先日、親戚の家で法事があったときに住職さんにきいたときも「合掌をするときには数珠は必要ですよ」と言われました。
数珠を忘れても気持ちがこもっていればいいとは言いますが、やはりマナーがあればそれに従うほうがいいですね。
まとめ
- 数珠の持ち方は宗派によって違う
- 違う宗派の葬儀に参列しても、数珠の持ち方は自分の宗派のもので良い
- 数珠は故人への感謝と冥福を祈る気持ちを増幅する意味を持つ
- 合掌をするときには数珠は必要
よその葬儀に参列したときに、周りの人を見てもいろんな数珠の持ち方をしている人がいて、「どんな持ち方でもいいのかなぁ?」と思ってましたが、これでスッキリしました。
みなさん自分の家の宗派にのっとった持ち方をしていたんですね。
これからは、人と違った持ち方でも心配しなくていいということです。
それと、お墓参りに行くときも数珠を忘れないようにしなくてはね。落としたりしないよう気をつけて。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。