お茶は日本人にとって生活に欠かせない飲み物ですね。
お茶にも煎茶に緑茶、抹茶などいろんな種類のものがありますが、一番摘みの玉露なんて最高です。
ところで、お茶といえば「夏も近づく八十八夜・・・♪」という茶摘み歌が思い浮かぶんですけど、ここに出てくる八十八夜って何のことか知ってますか?
節分や彼岸や土用は何となく分かりますが、八十八夜っていったい何を現していて、2019年の八十八夜はいつになるのでしょうか?
八十八夜の意味は?
八十八夜は節分や彼岸、土用などと同じく、季節の移り変わりを把握するために昔の人が設けた暦(こよみ)の上の特定の日を表す雑節(ざっせつ)のひとつです。
立春から始まる二十四節気は中国で生まれたものなんですが、雑節は日本生まれなんですよ。
雑節とは?
八十八夜が何を意味しているかの前に、雑節とは何かを解説します。
昔は季節を知る手がかりとして中国で生まれた二十四節気というものが使われていました。
ところが農家の人たちにとっては、二十四節気だけでは季節の移り変わりを的確につかめないし、日本と中国では少し風土が違うので、日本独自で考え出された暦が雑節で、次のものがあります。
- 冬土用
- 節分
- 春彼岸
- 春土用
- 八十八夜
- 入梅
- 半夏生(はんげしょう)
- 夏土用
- 二百十日(にひゃくとおか)
- 秋彼岸
- 秋土用
(※国立天文台の暦要項にあるもの。)
八十八夜とは?
八十八夜とは、立春から数えて(立春も一日目に数える)88日目のことです。
それでは八十八夜が農作業にとってどのように重要なのでしょうか?
「八十八夜の別れ霜」という言葉がありますが、これは八十八夜を過ぎればそろそろ霜が降りることもなくなるという意味です。
遅霜は農家にとって育ち始めた作物がやられてしまう大打撃となり、そのために霜の被害には細心の注意を払わなくてはならず、「八十八夜を過ぎるまでは遅霜に注意しましょう」という季節の節目が八十八夜なんです。
「夜」となっていますが、電気もない昔は霜の対策をするのは明るい昼間です。
霜が降りるのは夜から朝にかけてなので、八十八夜は立春から数えて88日目の夜から朝にかけてがよりピンポイントの範囲になるのでしょう。
2019年の八十八夜はいつ?
2019年の立春は2月4日ですから、当日から数えてその88日後である5月2日が八十八夜に当たります。
2019年は10連休となるゴールデンウィークの真っ只中ですが、私の住んでいる地区では以前と比べて早くなったこの時期に田植えが始まります。
稲の苗はビニールハウスの中で遅霜から守り、八十八夜のころに田植えをするという感じでしょうか。
どうして八十八なの?
遅霜への注意の目安なら一日や二日違ったらダメということはないはずで、それならなぜ九十夜とか切りの良い数字にしなかったのかと不思議に思いませんか?
八という漢字は末広がりで縁起がよいと言われ、それが二つ重なった八十八はさらに縁起がいいので八十八にした、という話もありますが、八十八には別の意味もあるようです。
昔の暦(こよみ)は現在のようなグレゴリオ暦(太陽暦の一種)ではなく、太陰暦を使っていました。
太陰とはお月さまのことで、月の満ち欠けの周期を1ヶ月とする暦です。
月の満ち欠けの平均周期は29.53日でそれを3倍すると、29.53×3=88.59となり、「立春のときの月の形が3回目に現れたとき」とするのが覚えやすいために八十八という数になったのだという説もあります。
八十八夜が当日の夜から朝にかけてだすれば、端数の0.59日も理解できるのではないでしょうか。
八十八夜と茶摘みの関係は?
霜は新茶には大敵
「八十八夜」という言葉自体、茶摘みの歌でしか知らないという方も多く、八十八夜と茶摘みってどんな関係があるの?と思っている方もみえるでしょう。
お茶は摘み取った順番に「一番茶(新茶)」「二番茶」「三番茶」と呼ばれ、一番茶が最も美味しく値段も高い高級なお茶になります。
お茶の芽は寒い時期には耐寒性が強いのですが暖かくなってくると耐寒性が徐々に低下し、一番茶となる新芽が生育するときに霜にあたると枯れてしまいます。
暖かくなると新芽が出始め、地中の水分や養分をたっぷり吸収した新芽が霜にあたることでその水分が凍結してしまうんです。
つまり、一番美味しい新茶は遅霜に弱いのです。
そして、一番茶を摘み取るのが4月中旬から5月中旬、ちょうど八十八夜のころであり、茶摘みにとって八十八夜のころまでは遅霜に注意しなければいけないということなのです。
暖かくなってきた春先の夜、お茶畑の上に設置してある防霜扇が回っているのは霜対策なんですね。
茶摘み 歌詞
夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは茶摘みじゃないか
茜(あかね)だすきに菅(すげ)の笠
日和(ひより)つづきの今日このごろを
心のどかに摘みつつ歌う
摘めよ摘め摘め摘まねばならぬ
摘まにゃ日本の茶にならぬ
茜は赤いという意味で、赤いたすきをかけた茶摘み娘が柔らかい日差しの中でお茶を摘むのどかな風景が頭に浮かんでくるような歌詞ですね。
終わりに
お茶の葉は寒い冬の間にゆっくりと養分を蓄え、暖かくなってくると少しずつ芽を出し始めます。
そのために一番早く出た新芽の茶葉には、その後に摘まれるものよりも栄養価やうま味が高く、一番茶を飲むと病気にならないと言い伝えられています。
また、八十八夜に摘んだお茶を飲むと長生きできるとも言われています。
もともとお茶は薬として飲まれていたわけなので、その栄養価が凝縮された一番茶は薬効が高いのは当納得できますね。
最近はお茶もペットボトルのものを飲むことが多くなってしまいましたが、八十八夜の意味のことなんかを思い出しながら急須で入れた熱いお茶をゆっくり飲んでみるものいいですね。
暑いお茶を飲むとなぜかほっとした気分になれますしね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。