「暑さ寒さも彼岸まで」 とは昔からよく言われている言葉ですね。
昔の人はうまいこと言ったものです。
春分の日と秋分の日あたりがお彼岸で、そのころにお墓参りに行く
ということは知っていましたが、考えてみればいつがお彼岸なのか
お彼岸って何なのかと、お彼岸についてほとんど知らないことに気が付きました。
みなさんもそうではないですか?
そこでお彼岸についていろいろ調べてみました。
お彼岸はいつ?
お彼岸は春分の日と秋分の日とその前後3日間の時期をいい
1年に2回、7日間ずつの期間です。
前3日間の最初の日を「彼岸の入り」
後ろ3日間の最後の日を「彼岸の明け」
春分の日と秋分の日は「彼岸の中日」と呼んでいます。
でもこの期間は毎年同じというわけではありません。
私たちは1年を365日として生活していますが、正しくは365日と四分の一日です。
このズレを補正するために4年に一度うるう年があり
お彼岸の時期もそれにつれて変わる年があります。
例えて言うと、春分の日が3月21日で秋分の日が9月23日だとすると
- 3月18日 彼岸の入り
- 3月19日
- 3月20日
- 3月21日 彼岸の中日
- 3月22日
- 3月23日
- 3月24日 彼岸の明け
- 9月20日 彼岸の入り
- 9月21日
- 9月22日
- 9月23日 彼岸の中日
- 9月24日
- 9月25日
- 9月26日 彼岸の明け
このようになるわけです。
そしてこの期間中にお墓参りをしてご先祖様を供養するということになります。
お彼岸とは?
そもそもお彼岸とはいったい何なのでしょうか?
お彼岸というのは仏教用語であって「彼方(かなた)の岸」
つまりあちら側の岸ということです。
それに対してこちら側の岸のことを「此岸(しがん)」といいます。
彼岸と此岸を分けているのが三途の川なんでしょう。
彼岸は悟りの世界で仏様がいる世界
此岸は生きている私たちがいる世界ということです。
そして彼岸は西にあるとされています。
これは西方浄土という言葉があることからも理解できますね。
太陽は東から上って、西に沈みます。
これを人の一生に例えると、東で誕生して西に死ぬとも言えます。
春分の日と秋分の日は太陽が真西に沈みます。
そのことから春分の日と秋分の日が彼岸と此岸がもっとも通じやすくなる日として
ご先祖様の供養をするようになったとされています。
お彼岸のメインの行事はお寺で営まれる彼岸会(彼岸法要)ですが
最近ではお墓参りだけで済ます家庭も多くなっています。
お彼岸は日本だけの文化
仏教はインドから中国、朝鮮を経て日本に伝わりました。
でもお彼岸という習慣は日本だけの行事です。
日本には古くから神道が根付いていて
農耕民族であった日本人は 太陽や収穫物
ご先祖様に感謝するという想いを持っていました。
神道の自然信仰と先祖供養の考えが
仏教の「彼岸=浄土」という教えと結びついて
お彼岸のお墓参りという文化が生まれたということです。
日本人は違った文化のいいところを取り入れるのが上手ですね。
お墓参りのマナー
誰でも1年に一度や二度はお墓参りに行くと思うのですが
意外に基本的なマナーを知っている人は少ないのではないのでしょうか?
ここではお墓参りのマナーを解説します。
ご先祖様のお墓が霊園などにあるときは
霊園の管理者がみえるはずですから
お墓に到着したらその管理者の方に挨拶をします。(帰るときも同じです。)
お墓がお寺の境内にあるなら、ご住職さんに挨拶をします。
そして墓前に向かう前に水汲み場で手を清めます。
墓前に着いたらお墓の掃除をすることになりますが
その前にまず合掌してから掃除にとりかかります。
お墓は故人の家とも呼べる場所です。
「これから入らせていただきます」という意味を込めて合掌します。
そして草むしりをしたり古い塔婆を抜き、墓石の汚れを落とします。
そのあと花立てを洗って新しい花を供えますが
このとき必ずしゃがんで行うようにします。
お供え物があるときにも半紙をお皿代わりにしてしゃがんで供えます。
お墓に水をかけるとしたらこのあとですが
お墓に水をかけるかどうかについては宗派などによっても諸説あり
明快に決まっているわけではありません。
【お墓に水をかける理由】
- 仏様が喉を潤すため
- お墓にかけられた水しか飲むことができない餓鬼への慈悲
- 水をかけたことが合図になりご先祖様が姿を現す
【お墓に水をかけない理由】
- 墓石をご先祖様の体だと思ってきれいに拭くほうがよい
- 仏様の頭から水をかけることになり失礼にあたる
このようにいろんな考え方がありますから
迷ったらご住職さんに聞いてみるのが一番いいでしょう。
そして線香に火をつけて線香立てに立て、数珠を持って合掌礼拝します。
線香の火を消すときは必ず手であおいで消すようにします。
口は悪行を積むものとされているので、口で吹き消すことはしたらダメです。
立ったまま合掌するのか、しゃがんでするのかは
宗派によって違いますから 確認しておいたほうがいいですね.
お墓参りがすんだら線香は燃やしきるか消して家に持ち帰ります。
火事を防ぐために燃やしたまま放置しないように注意しましょう。
お供え物もそのままにしておくとカラスなどが荒らしてしまうので持ち帰ります。
帰るときにはお墓が汚れていないか確認してから帰るようにします。
お彼岸におはぎを食べるのはなぜ?
お彼岸というとお墓参りのほかにおはぎを思い出しませんか?
甘くて美味しいおはぎに目がないという人も多いのでは?
ではなぜお彼岸におはぎを食べるようになったのでしょう?
それには次のようないろんな説があります。
- 小豆の赤い色が邪気を払うから
- 「あんこ」と「もち米」を合わせることが先祖と心を合わせる事に通じるから
- 砂糖が貴重な時代におはぎを作って供え、近所に配ることは大変な功徳だとされたから
これが本当の理由だというものは分かりませんが
これらの説がいくつか混ざり合ってお彼岸にはおはぎとなったのでしょう。
おはぎはいつ食べる
お彼岸は7日間あるのですが
そのうちいつおはぎをたべるのでしょうか?
これはお中日、つまり春分の日と秋分の日に食べるというのが定説のようです。
ただ秋分の日はまだ暑いこともあり、おはぎが傷みやすいこともあります。
そんなときはお中日の前に食べても大丈夫です。
ただ、仏様にお供えしたあとに食べるようにします。
ご先祖様が優先ですからね。
おはぎは秋のお彼岸に食べるのが本当
おはぎとよく似たものにぼたもちがありますね。
両者にはつぶあんでできたものがおはぎで
こしあんでできたものがぼたもちという違いがあります。
これは材料の小豆に原因があります。
小豆が採れるのは9月ころで、秋のお彼岸と同じ頃です。
昔でもとれたての小豆なら鮮度がよく
皮も柔らかくてつぶあんにできるのに
春まで保存していた小豆は皮が硬くなり
皮を取ったこしあんにしかできませんでした。
だから昔は春のお彼岸にはぼたもちを
秋のお彼岸にはおはぎを食べていたんです。
いまでは保存技術が向上したのでどちらも年中食べられます。
美味しければどちらでもいいですよね。
まとめ
- お彼岸は春分の日と秋分の日のそれぞれ前後3日間の7日間
- お彼岸は悟りの世界で仏様がいるところ
- お彼岸は日本独特の文化
- マナーを守ったお墓参りをしましょう
- お彼岸におはぎを食べる理由はいくつもある
お彼岸になったらおはぎをお供えして
ご先祖様のことに思いを馳せながら合掌したいと思います。
最後まで読んでいただきどうもありがとうございました。