月が地球に落ちてこないのはなぜ?

夜空を彩る無数の星々。きれいですね。

中でも一番大きく見える月はとても身近な存在であり、また満ちたり欠けたりして昔の人にとっては神秘的な存在でもあって、信仰の対象にもなっていました。

ところで、地球の円周の距離の10倍足らずのところにある月がなぜ地球の引力で落ちてこないのか不思議に思ったことはありませんか。

今回はそんなところをわかりやすく解説してみます。

月が地球に落ちてこない理由

月が地球に落ちてきたら大変なことになるんですけど、そうならないのは月が本来動こうとする力と地球の引力が作用しあい、それが月の軌道になっているからです。

月がどうやってできたかについては諸説あるんですけど、一番有力なのはジャイアントインパクト説です。

それは、大昔の地球にかなり大きな惑星がぶつかって地球の一部が削り取られ、今ある地球と月に別れたというものです。

(参照:https://kids.gakken.co.jp/kagaku/kagaku110/science0390/)

地球に衝突した惑星は、今までの移動してきたエネルギーによって衝突後も多少コースは変わるものの、今までと同じようなコースで移動しようとします。

このときもし地球に引力がなかったら、衝突によってできた月は宇宙の彼方へ飛んでいってしまったことでしょう。

しかし、地球の引力の作用で月が本来動こうとしていた方向が変わり、今の月の軌道になったわけです。

地球の引力は一定であり、宇宙空間では空気抵抗がないため月が軌道上を動こうとする力(上のイメージ図で黄色の力の大きさ)も不変なので月は地球から一定の距離のところをずっと回っているというわけです。

これが月が地球に落ちてこない理由です。

でもこれってすごいことだと思いませんか。

惑星が地球にぶつかるスピードがもっと遅かったら、地球と月は合体してしまっていたかもしれませんし、逆にもっと早かったら月は地球の引力を逃れてどこかへ行ってしまっていたかもしれません。

また、ぶつかった角度も絶妙だったんです。

惑星がもし地球のど真ん中に衝突していたら地球は破壊されていたかもしれませんし、地球をかすめる程度の衝突なら、惑星のスピードがそれほど落ちずにそのままどんどん地球と離れていってしまっていたでしょう。

惑星の大きさやスピード、地球に衝突した角度などいろんな条件が重なって今の月があるんです。

まさに奇跡です。

地球が太陽に近づかないのも同じ理由

太陽は非常に大きな引力を持った恒星ですが、地球や水星や金星など太陽の惑星が太陽に近づいていかないのも同じ理由です。

地球は惑星が太陽に衝突してできたわけではありません。

太陽系ができたのは今から約46億年前、宇宙空間に漂っていたガスが回転を初めたのがその始まりです。

そして、その回転の中心にあったのが太陽です。

回転するガスの中から小さなチリが生まれ、そのチリが衝突と合体を繰り返しながらだんだんと大きくなって惑星になります。

その中のひとつが地球です。

ガスの回転速度はとてつもなく速く、そこにできた地球が進むエネルギーと太陽の引力のバランスがつりあって地球は太陽の周りを周回しているわけです。

ちなみに、地球が太陽の周りを回る公転速度は音速の約87倍(マッハ87)だそうですよ。

月は地球から遠ざかっている

上に「月は地球から一定の距離のところをずっと回っている」と書きましたが、厳密に言うと月は毎年3センチほど地球から遠ざかっています。

なぜそうなるのかという理由は、潮汐力や角運動量など難しい話になるのでここでは触れませんが、気になる方はコチラの記事が参考になります。→https://moonstation.jp/faq-items/f320

また、月が地球から離れるのが終わると今度は月は地球に近づいてきて衝突するとも言われています。

もっともその時期は今から数十億年後だそうなので、ひとまずは大丈夫なんですが。(→https://www.excite.co.jp/news/article/Tocana_201702_post_12262/)

まとめ

月が地球に落ちてこないのは、地球の引力のエネルギーが月が本来進もうとする方向を変え、それが月の軌道になっているから。

 

地球のような星が宇宙に生まれる確率は10の15乗分の1だそうです。

我々がいる天の川銀河には2,500億もの星があるそうですから、そんな銀河が4,000個あるなかでやっと一つ生まれる程度の確率です。

さらにその星にドンピシャの大きさや角度、スピードで惑星が衝突して衛星になる確率はもっと低くなります。

ほとんどゼロに近いと言ってもいいでしょう。

そんな奇跡のような確率をすり抜けて私達にキレイな姿を見せてくれる月は、もはや神秘的なんて言葉では表現できないほど素晴らしいものです。

地球に生まれたことを感謝しながら、今夜も月をしみじみ眺めたいと思います。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。