日本各地の神社を回っていて不思議に思うのは、八坂神社や伊勢神宮、出雲大社など下の呼び方が違う神社があることです。
祀られている神様が違うのか?氏子の数が違うのか?などと考えていましたが、今回はそんなところを調べてみました。
神社と神宮、大社の違い
神社とは?
神社とは日本古来で固有の宗教である神道の信仰の精神に基づく施設の総称です。
つまり、◯◯神宮や◯◯大社などもすべて神社のうちということになります。
日本の神社を統括管理する組織である神社本庁によると、日本には約8万もの神社があるそうです。
この数は約6万のコンビニよりも多い数です。
私の家の近くにも大小4つもの神社があります。
昔の人は神の存在を信じていたんですね。
神宮とは?
神宮は神社のうちでも皇室の祖神や歴代天皇、皇室と縁が深い神が祀られている神社です。
平安神宮は桓武天皇、明治神宮は明治天皇が祀られていますね。
◯◯神社や◯◯神宮などの名称を社号といいますが、日本に約8万もある神社のうち、神宮の社号を持つものは伊勢神宮以外では24社しかありません。
(なお、単に神宮という場合には伊勢神宮のことを指します。)
皇室祖先神を祀る神宮
- 神宮(伊勢神宮)三重県伊勢市 祭神:天照大神ほか
- 伊弉諾(いざなぎ)神宮 兵庫県淡路市 祭神:伊弉諾尊(いざなぎのみこと)伊弉諾尊(いざなみのみこと)
- 霧島神宮 鹿児島県霧島市 主祭神:天饒石国饒石天津彦火瓊瓊杵尊(あめにぎしくににぎしあまつひこひこほのににぎのみこと)
- 鹿児島神宮 鹿児島県霧島市 主祭神:天津日高彦火火出見尊(あまつひだかひこほほでみのみこと、山幸彦)
- 鵜戸(うど)神宮 宮崎県日南市 主祭神:日子波瀲武鸕鷀草葺不合尊(ひこなぎさたけうがやふきあえずのみこと)
- 英彦山(ひこさん)神宮 福岡県田川郡添田町 主祭神:正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命(まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)
歴代天皇を祀る神宮
- 橿原神宮 奈良県橿原市 祭神:神武天皇
- 宮崎神宮 宮崎県宮崎市 祭神:神武天皇
- 氣比(けひ)神宮 福井県敦賀市 主祭神:伊奢沙別命(いざさわけのみこと)副祭神:仲哀天皇、神功皇后
- 宇佐神宮 大分県宇佐市 主祭神:応神(おうじん)天皇、神功皇后(じんぐうこうごう)
- 近江神宮 滋賀県大津市 祭神:天智天皇
- 白峯神宮 京都市上京区 祭神:崇徳(すとく)天皇、淳仁(じゅんにん)天皇
- 平安神宮 京都市左京区 祭神:桓武天皇、孝明天皇
- 新日吉神宮(神社本庁には属していません) 京都市東山区 祭神:後白河天皇
- 赤間神宮 山口県下関市 祭神:安徳天皇
- 水無瀬神宮 大阪府三島郡島本町 祭神:後鳥羽天皇、土御門(つちみかど)天皇、順徳天皇
- 吉野神宮 奈良県吉野郡吉野町 祭神:後醍醐天皇
- 北海道神宮 札幌市中央区 主祭神:大国魂神(おおくにたまのくに)副祭神:明治天皇
- 明治神宮 東京都渋谷区 祭神:明治天皇
上記以外
- 熱田神宮 名古屋市熱田区 主祭神:熱田大神(あつたのおおかみ)・・草薙神剣(くさなぎのみつるぎ)をご霊体とする天照大神
- 石上神宮 奈良県天理市 主祭神:布都御魂大神(ふつみたまおおかみ 御神体の布都御魂剣に宿る御神霊)
- 國懸(くにかかす)神宮 和歌山市 主祭神:國懸大神・・日矛鏡(ひぼこのかがみ)を御神体としている
- 日前(ひのくま)神宮 和歌山市 主祭神:日前大神・・日像鏡(ひがたのかがみ)を御神体としている
- 鹿島神宮 茨城県鹿嶋市 祭神:武甕槌大神(たけみかずちのおおかみ)
- 香取神宮 千葉県香取市 祭神:経津主大神(ふつぬしのおおかみ)
大社とは?
大社とは文字通り大きな神社ということで、ひとりの神様がいくつもの神社で御祭神として祀られていますが、同じ御祭神を祀る神社の総本山とも言えるのが大社です。
日本各地に支店や営業所を持つ大会社の本社みたいなものです。
出雲大社は大国主大神(おおくにぬしのみこと)を祀る神社の総本山ということです。
大社といえば出雲大社だけだった
明治維新後に政府によって神社の格付け(近代社格制度)が行われ、最高ランクの官弊大社から無格社まで全国の神社に社格が設定されました。
その近代社格制度のもとで大社の名称を持っていたのは出雲大社だけでした。
第二次大戦後に政教分離の方針によってこの社格制度が廃止され、その後に次の23の神社が大社を名乗るようになりました。
- 熊野大社(島根県松江市)
- 三嶋大社(静岡県三島市)
- 富士山本宮浅間大社(静岡県富士宮市)
- 諏訪大社(長野県諏訪市)
- 気多大社(石川県羽咋市)
- 南宮大社(岐阜県不破郡垂井町)
- 多度大社(三重県桑名市)
- 多賀大社(滋賀県犬神郡多賀町)
- 建部(たけべ)大社(滋賀県大津市)
- 日吉大社(滋賀県大津市)
- 春日大社(奈良市)
- 龍田大社(奈良県生駒郡三郷町)
- 廣瀬大社(奈良県北葛城郡河合町)
- 伏見稲荷大社(京都市伏見区)
- 松尾大社(京都市西京区)
- 梅宮大社(京都市右京区)
- 住吉大社(大阪市住吉区)
- 大鳥大社(大阪府堺市)
- 熊野本宮大社(和歌山県田辺市)
- 熊野速玉大社(和歌山県新宮市)
- 熊野那智大社(和歌山県東牟婁郡那智勝浦町)
- 宗像(むなかた)大社(福岡県宗像市)
- 高良(こうら)大社(福岡県久留米市)
社格制度が廃止される前は熊野大社は熊野神社、三嶋大社は三嶋神社などと名乗っていたわけで、出雲大社以外で大社という呼び方の神社が登場したのはそれほど古いことではありません。
八幡宮とは?
八幡宮は八幡神をご祭神としている神社で、諸説ありますが日本には八幡社や八幡宮を名乗る神社が約1万5千もあるということです。
八幡神は第15代応神天皇を神格化したものと言われていて、農耕や海の神とされています。
全国の八幡宮の総本社は大分県宇佐市の宇佐神宮で、宇佐神宮は宇佐八幡宮とも呼ばれています。
稲荷社もあるよ
神社の中で稲荷神を祀っているのが稲荷社、稲荷神社です。
稲荷神は「稲」という文字からも分かる通り、稲作に関わる神で五穀豊穣を司る神でしたが、時代とともに商売繁盛や家内安全の神としても信仰されるようになりました。
神社のなかで稲荷社や稲荷神社の名称を持つものは八幡宮よりも多く、約2万もあるそうで、総本社は京都の伏見稲荷大社です。
(稲荷社の数についても諸説あります。)
まとめ
- 神社は神道の信仰の精神に基づく施設の総称
- 神宮は神社のうち、皇室の祖神や歴代天皇、皇室と縁が深い神が祀られている神社(伊勢神宮以外24社 神社本庁登録以外の1社を含む)
- 大社は同じ御祭神を祀る神社の総本社(24社)
- かって大社といえば出雲大社だけだった
- 第二次大戦後、出雲大社のほかに23の神社が大社を名乗るようになった
- 八幡宮は八幡神を祀る神社で、宇佐神宮が総本社
- 稲荷社は稲荷神を祀っている神社で、神社のなかでは一番多く、総本社は伏見稲荷大社
近代社格制度が廃止されて社格というものはなくなりましたが、それでも神宮や大社は他の神社と違う威厳のようなものを感じますね。
それもそのはずで神宮は25社、大社は24社しかない特別な神社です。
神宮や大社に参拝に行くときには、普通の神社との違いを知ってから行けばもっと楽しいものになることでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。