直流と交流の違いをわりやすく解説!どうして両方あるの?

電気は生活には無くてはならないものですが、私達が使う電気製品にはパソコンのように直流のものと、扇風機のように交流のものがあります。

直流と交流は何が違うのでしょうか。

また、どうして両方あるのでしょうか。

今回はそんなところをわかりやすくご紹介します。

 

直流と交流の違い

直流

乾電池にはプラスとマイナスがあって、懐中電灯などの電気製品に接続するとプラスからマイナスに電気が流れます。

これが電流で、電流を流す力(圧力)が電圧になります。

直流電流は電気の流れる向きと電圧がずっと一定の電流のことです。

(電気製品が電気を消耗すると電圧は下がりますが。)

(出典:http://www.japansensor.co.jp/faq/920/index.html)

 

交流

交流電流は電流の流れる向きが時間の経過によって交互に変わり、それとともに電圧も変化する電流のことです。

(出典:http://www.japansensor.co.jp/faq/920/index.html)

家庭のコンセントに来ている電気はこの交流電流です。

1秒間にプラスとマイナスが切り替わる回数のことを周波数(Hz・ヘルツ)といい、静岡県の富士川と新潟県の糸魚川を結ぶ線を境にしてその境より東側が50Hz、西側が60Hzになっています。

なぜ違う周波数が混在しているの?

電気は外国から入ってきたものです。

日本で電気が使われるようになったのは明治に入ってからで、電気を作る機械(発電機)は外国から輸入するしかありませんでした。

東京にはドイツから、大阪にはアメリカから発電機が輸入されましたが、ドイツ製の発電機は50Hzで、アメリカ製の発電機は60Hzだったため東日本は50Hz、西日本は60Hzになったわけです。

日本国内で周波数が違うのは何かと都合が悪いので、それ以降何度も周波数統一が話し合われましたが、実現することなく現在に至っています。

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どうして両方あるのか?

トーマス・エジソン

送電システムを世界で初めて開発したのは蓄音機や白熱電球を発明したトーマス・エジソンです。

当時、暗闇の中での明かりといえば灯油ランプでしたが、エジソンはもっと簡単に明かりを手に入れられるように、そして自らが発明した白熱電球を広めるために送電システムを作ろうと計画しました。

そのために発電から送電までを担い、世間の人々に電気を供給する電気系統の事業を起こしました。

しかし、このときに送られる電気は直流電流でした。

中学の理科の授業で習った「V=IR」という電流と電圧の公式を覚えていますか?(私はこれしか覚えていませんが。)

Vは電圧、Iは電流、Rは抵抗を表しています。

つまり、電圧が一定なら抵抗が大きいほど電流が小さくなるということです。

なので直流電流を送電する場合には遠くになればなるほど白熱電球が増えて抵抗も大きくなり、電流が小さくなって白熱電球の灯りも暗くなってしまうのです。

実際、直流電流を送電できる距離は非常に狭い範囲で、そのために町の中にいくつも発電所を作らなくてはなりませんでした。

ニコラ・テスラ

送電には直流よりも交流のほうがよいと考えたのがニコラ・テスラです。

テスラはエジソンの会社に就職するものの、この考えによってエジソンと対立し会社を去ってしまうことになります。

そしてパトロンを見つけて援助を受け、交流送電システムを実用化しました。

 

エジソンが開発した直流送電システムとテスラが開発した交流送電システムは、どちらがいいかという電流戦争に発展しました。

この戦争にどちらが勝ったのかは、今の送電システムが交流であることをみれば分かりますね。

 

直流と交流のメリットとデメリット

電気戦争でエジソンがテスラに破れたのは直流の持つ送電上のデメリットが大きすぎたからです。

送電上の直流と交流にはどんなメリット、デメリットがあるのかみてみましょう。

直流のメリット・デメリット

メリット

  • 発電設備が小型化できる

デメリット

  • 変圧が難しい

交流のメリット・デメリット

メリット

  • 変圧が容易にできる

デメリット

  • 発電設備が大型化する

 

このように直流と交流はメリット・デメリットを補完しあっているわけですが、送電するにはどちらかを選ばなければなりません。

電気戦争で一番の問題となったのが「直流は変圧が難しい」というデメリットでした。

発電所で数十万ボルトの大電圧の電気を送電する場合でも、家庭で使うときには100ボルトか200ボルトに降圧(電圧を下げること)して使います。

交流の場合は高電圧から低電圧に降圧するには変圧器にかければすぐに降圧できます。

ところが直流の場合は、高圧の直流→高圧の交流→低圧の交流→低圧の直流、というふうにしないと変圧できません。

発電所から送られる超高電圧の電気は、途中でいくつもの変電設備を通って徐々に降圧されて家庭に届きます。

(電柱に設置してあるトランスも変電設備のひとつです。)

直流だとその変電設備があるところ全てに直流を交流に変換する設備や降圧する設備を設置するスペースが必要になり、コストが高くなります。

また変換するたびにロスが発生するので、こちらもコスト増につながります。

そのため、現在は送電するのに交流を使っているわけです。

 

電気の送電方法では交流に軍配が上がりましたが、直流を使っているものもたくさんあります。

むしろ家庭電化製品は直流で動いているもののほうが多いでしょう。

身近なもので直流のものと言えば乾電池があります。

乾電池は直流であり、その乾電池を動力にしている電化製品も直流で作動しています。

例えばラジオやCDプレーヤーなどがそうで、同じ電化製品が乾電池でも家庭用コンセントからの電源でも作動するのは、電化製品の内部で交流を直流に変換しているからです。

(交流を直流に変換する装置をコンバータといいます。)

ノートパソコンもコンバータで交流を直流に変換して使ってるんですが、ノートパソコンは軽量にする必要があるためにコンバータには外部機器を使い、これがACアダプターと呼ばれているものです。

家庭用コンセントからノートパソコンの間にコンバータがあるという格好ですね。

一方、デスクトップパソコンはコンバータが内蔵されているため重くなります。

 

他にもマイコン制御のデジタル家電はすべて直流で動いています。

マイコンに使われている半導体は交流では使えないからです。

今の時代の家電製品はほとんどがデジタル家電になっていますので、家電製品のほとんどは直流で動いているということになります。

 

終わりに

家庭電化製品が直流で動くなら送電も直流にすればいいのに、って思いますね。

直列送電は送電ロスが少ない、絶縁しやすい、安定度が高いなどの利点があるんですけど、家庭で使えるように変圧するのが面倒くさいと言うか難しいわけです。

ですが半導体を使った交流を直流に変換する技術が進み、直流送電の利点を活かそうと世界各国で直流送電の試みが進んでいます。

今後さらに技術が進み、直流送電が普通になるときがくるかもしれませんね。

そうなれば電気料金も安くなるといいですね。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。