孔子の思想と名言

 

中国の思想家として真っ先に思いつくのは

一番先に登場した儒学の祖と言われる孔子でしょう。

 

孔子は釈迦(しゃか)、ソクラテス、キリストとともに

世界四聖(せかいしせい)と呼ばれている君子です。

 

キリストが実在したかどうかは定かではありませんが

孔子は実在し、その後の中国思想に大きな影響を及ぼしました。

 

その孔子が残した名言のなかには

今の時代にも十分にその光を放つものがあると

再評価されてきています。

 

孔子の思想とはどのようなものであり

どんな名言を残したのでしょうか?

 

 

孔子

 

 

 

孔子の思想

 

著名な思想家が登場するのは

その時代背景に大きく関わりがあります。

 

孔子が生まれたのは紀元前551年(552年という説もあり)で

ソクラテスより約90年、キリストより約500年も前です。

 

そのころの中国は周王朝が衰え

諸侯が覇権を争っていた春秋戦国時代

その末期に現れたのが孔子です。

 

そして孔子が乱世の時代にこそ必要だと

思想の中心に置いたのが「仁」と「礼」の考えです。

 

 

「仁」とは

 

他人に対する思いやりや愛

これが仁です。

 

孔子は世の中が乱れたのは

他人を思いやる心が失われたことが原因と

「仁」の心が最も大切と説きました。

 

そして「仁」にもいくつかあり

親や兄に尽くす孝悌(こうてい)

私利私欲を抑える克己(こっき)

他人を思いやる恕(じょ)

自分に忠実な心忠(ちゅう)

人を騙さない信(しん)

この5つが大切だと教えました。

 

 

「礼」とは

 

「礼」とは私たちが使う「礼儀」とは少し違い

人が従わなければならない規範のことです。

 

孔子は「礼」は「仁」が外面に現れたものであり

この二つを同時に持っている人物こそが

為政者にふさわしいと考えていました。

 

 

孔子の名言

 

一度は聞いたことのある「子曰く(し、いわく)」という言葉。

ここでの「子(し)」は「先生」や「師匠」ではなく「孔子」のことです。

 

孔子の言った言葉は弟子たちによって

「論語」のなかに収められ

その中には現代にも十分通用する名言もあります。

 

過ちを改めざる これを過ちという

過ちは誰でも犯す。

過ちを犯してそれを改めようとしないことこそ

真の過ちである。

 

 

過ちを改むるに憚る(はばかる)ことなかれ

過ちを悔い改めるには誰にも遠慮することはない。

 

 

知らざるを知らずとなる これ知るなり

知らないことを知らないと認める。

これが本当に知ることにつながる。

 

 

義を見てせざるは勇なきなり

人としてなすべきことと知りながら

それをしないのは勇気がないからである。

 

 

巧言令色(こうげんれいしょく)、鮮(すく)なし仁(じん)

心にもないお世辞を言ったり

顔色を伺うような人物に誠実な者は少ない。

 

 

故き(ふるき)を温めて新しきを知る、以って師と為(な)るべし

古いことを調べて知り、そこから新しい発見をなせば

他人に学ばせることもできる。

有名な「温故知新」という四字熟語の元となった名言です。

 

 

怒りを遷さず(うつさず)

腹が立っても怒りの気持ちを他のものに向けるようなことをしてはいけない。

他人に八つ当たりをしてはいけない。

 

 

益者三友

友人として持ちたいのは、正直な人、誠実な人

深い見聞がある人である。

 

 

己(おのれ)に欲せざるところは人に施すことなかれ

自分にしてほしくないことは、人にもしてはいけない。

自分にしてほしいことを人にもせよ

他人を思いやる心が大切ということを説いた言葉。

 

 

人を以て言を廃せず

評判が良くない人が言った意見だからという理由で

その意見を無視するということはよくない。

良い意見なら誰が言ったかは関係ない。

 

 

孔子が言ったとされる言葉の中には

「えっ?」と思うようなものもありますが

「仁」と「礼」を思想の中心においた言葉には

なるほどと頷いてしまう名言もいっぱいあります。

 

文化大革命では封建主義を広めた人物として

毛沢東から悪人扱いされた孔子でしたが

上下関係を厳しく律する思想は確かに封建的に見えます。

 

しかしそれは現代社会で軽視されがちな

目上の人を敬う礼儀を大切にするというもの。

 

孔子の言葉に再び注目が集まっているのも

そんな現代人が忘れてしまっている

大切な何かを模索しているからではないでしょうか?

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。