最近、ヤマトホールディングスとか野村ホールディングスとか
何とかホールディングスという言葉をよく聞きますね。
ヤマトホールディングスならヤマト運輸が
野村ホールディングスなら野村證券が中心になっている
企業グループなんだろうな、というくらいの想像はつきますが
ホールディングスとは正確にはいったいどんな企業なんでしょう?
分からないことがあると、調べてみたくなる性分の私は
ホールディングスについてちょっと調べてみました。
ホールディングスの意味
ホールディングスは持株会社という意味です。
それでは持株会社は何か?ということになりますが
文字通り、他社の株式を保有している会社のことです。
そして、持株会社には二つの種類があります。
・事業持株会社
大株主になるとその会社の経営方針などに口を出すことができます。
自分の会社で事業をしているかたわら
別の会社の株式を大量に保有して経営方針などを指導するのが事業持株会社です。
例えて言えば、銀行と自動車会社の関係がそうです。
自社の業務で業績を出して利益を上げ、株式を保有している会社の株式配当も受けます。
・純粋持株会社
自社では事業をせず、傘下の企業の株式を持ち
その企業の会社を指導・支配することのみを業務としている会社です。
「◯◯ホールディングス」と言った場合にはこの純粋持株会社のことです。
この場合は株式配当のみが収入となります。
例えばヤマトホールディングスを見てみると
トップはヤマトホールディングスで
その傘下にメイン企業であるデリバリー事業のヤマト運輸、
ロジスティクス事業のヤマトロジスティクス、
ファイナンシャル事業のヤマトファイナンシャルがあるといった具合です。
そしてヤマトホールディングスの事業はというと
傘下のヤマト運輸やヤマトロジスティクスなどの企業を
支配下に置いて監視・指導し、必要ならば
不採算部門の売却や他企業の買収や合併を図っています。
ちなみに、今もよく使われている親会社という概念は
独自の事業を行っているかどうかで
ホールディングスかどうかが決まります。
ホールディングスのメリットとデメリット
ホールディングスという企業形態が増えているのには
何らかのメリットがあるからですね。
ここではホールディングスのメリット、さらにデメリットについてみてみます。
ホールディングスのメリット
・買収や合併・売却の対応が迅速にできる
分社化されたグループ内の各事業の採算が分かりやすくなり
力を注ぐべき重点項目、経営方針の迅速な決定ができ
不採算部門の売却、他事業の買収・合併が容易になる。
・節税になる
連結決算納税により節税のメリットがある。
・傘下の会社へ権限の委譲がしやすい
このことにより、持株会社はグループ企業全体に関わる意思決定だけに
専念することができ、意思決定のスピードの迅速化が図れます。
ホールディングスのデメリット
・傘下企業の横の連携が取りにくい
同じ企業の別事業部なら連携も取りやすいのですが
別企業となると対抗意識もあり
意思疎通がスムーズにいかなくなることもあります。
・労働条件の交渉先が分かりにくい
傘下の企業に在籍している場合に、労働条件の交渉先は
雇用契約を結んでいる傘下の企業なのか
持株会社(ホールディングス)なのか分かりづらい。
この場合は、雇用されている企業が
持株会社の意向も伺いながら交渉することがほとんどです。
このようにホールディングスにはメリットもデメリットもありますが
現代の企業にとって一番重要な「迅速で正確な意思決定」が
可能になるのがホールディングスによる持株会社です。
このメリットがあるために、多少のことには目をつぶってでも
ホールディングス化を進めようという企業が増えているのです。
まとめ
ホールディングスとは傘下の企業の支配・管理のみを事業とする持株会社のこと
ホールディングスの最大のメリットは迅速で正確な意思決定が可能なこと
ホールディングスにはデメリットもあるがメリットのほうが断然大きい
ホールディングスは戦前で言えば財閥に相当します。
財閥と聞くと市場を独占していたかのようなイメージですが
まさにその通りで、第二次世界大戦後に市場競争促進のため
アメリカによって解体させられました。
そして持株会社を禁止する独占禁止法も施行されました。
しかし日本経済が発展してグローバル化が進展し
国際競争力を上げていくために持株会社の存在が見なおされて
1997年に独占禁止法が改正され、持株会社解禁になりました。
今後も中国などの台頭により国際的な競争はますます激しくなり
ホールディングス(持株会社)の存在価値も大きくなっていくことでしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。