日本には本当にたくさんの神社があって、お祭りも多く行われますね。
多くの場合には神主さんが祝詞(のりと)をあげ、神霊が宿った御神体を御輿に移して氏子が住む地域を練り歩きます。
私の住んでいる地域では、そのほかにも風の神様や水の神様などをお祀りするときにも神主さんに祝詞をあげてもらいます。
神主さんに来てもらうように連絡をするのは役員なんですけど、お年寄りなんかが「神官さんは何時に来る?」とか「神官さんに連絡した?」なんて役員の人に確認をするときに何故か神官という言葉をよく使います。
神主さんがどういう人かは何となく分かるんですが、神官さんも神主さんと同じなんでしょうか。
また、神社に行くと禰宜(ねぎ)という人がいることもあります。
神主さんと神官さんはどう違うのでしょうか。
そして、禰宜ってどんな人なんでしょうか。
神主と神官の違い
神主とは
かっては神主はその名の通り神社の主(あるじ)で、神に仕える神職の長であり、中心になって社務を行う神社を代表する役割の人でした。
それがいつの間にか神職を行う人全般を指すようになりました。
それでは神職にはどんな職位があるかをおおまかにいうと、職位が高い順に
- 宮司(ぐうじ)
- 権宮司(ごんぐうじ)
- 禰宜(ねぎ)
- 権禰宜(ごんねぎ)
と、これだけの神職があります。
神社にいても女性である巫女は神職ではありません。
かって神主といえば宮司のことを指していたんですね。
そして、それぞれの神職がどのような役割を担っていたのかというと
- 宮司・・・神職や職員をまとめる役割 一名は必ずいる
- 権宮司・・・宮司の代理 副宮司
- 禰宜・・・宮司の補佐 権禰宜以下の職員をまとめる役割
- 権禰宜・・・上の職階の人の指示で社務を行う
ほかにも出仕という人もいますが、これはまだ正式にその神社に採用されていない見習いの身分の人です。
神社の多くは小さな神社でこの4名が揃っていないところも多くあり、普段は宮司が一人もいない無人の神社がほとんどですが、そんな神社にも宮司は必ずいて別の神社の宮司が兼務しているのです。
また、神社のなかでも別格である伊勢神宮の神職は上から順に
- 祭主
- 大宮司
- 少宮司
- 禰宜
- 権禰宜
- 宮掌(くじょう)
となっています。
禰宜というのはいくつかある神職のうちのひとつで、宮司を補佐する役割の人です。
神官とは
かって日本は国家神道を唱え、神社は政府が管理していました。
そして、神社で神に仕えて奉仕する神職の人を神官と呼んでいました。
つまり神官は公務員であり、神官は神主と同じ意味で使われていたということです。
ところが日本が太平洋戦争に敗れると、GHQによって国家神道が廃止されて神社が国家の管理ではなくなり、神官という職名もなくなってしまいました。
お年寄りが神主のことを神官と呼ぶのは昔の名残りなんでしょうね。
神主の階位
神主には職位のほかにも階位というものがあります。
階位とは平たく言うと神主の資格のようなもので、次の5つの階位が存在します。
- 浄階(じょうかい)・・・神職の最高職階。長年神道に尽くした人に与えられる名誉階位。
- 明階(めいかい)・・・神社本庁が定めた別表神社一覧に定められた神社の宮司・権宮司になるために必要な階位。この階位があれば伊勢神宮の大宮司を除いてどこの神社の宮司にもなれます。
- 正階(せいかい)・・・別表神社一覧にある神社の禰宜及び県社の宮司になるために必要な階位。
- 権正階(ごんせいかい)・・・村社や郷社の宮司になるために必要な階位。
- 直階(ちょっかい)・・・権禰宜になるために必要な階位。
※神社本庁は伊勢神宮を本宗とする民間の宗教法人。
※かって神社には社格制度があり、無格社を除いた十の各付けうち村社は一番下位、郷社は下から二番目、県社は下から三番目の格付けです。
さらに神主にはきっちりした6段階の身分があり、袴の色で判別することができます。
- 特級:文様入り白(八藤丸文大文白)
- 一級:文様入り薄紫(八藤丸文紫緯白)
- 二級上:文様入り紫(八藤丸文紫緯共)
- 二級:文様なし紫(無文紫)
- 三級・四級:文様なし浅葱(あさぎ)(無文浅葱)
職位と身分はリンクしていない制度なんですが、浄階は一級以上。正階は二級上、二級以上の身分がないとなれません。
神職になるためには階位が必要であり、さらに階位を得るためには身分も必要であるという何ともややこしい制度ですね。
私なんかは絶対に覚えることはできないでしょう。
終わりに
日本は太平洋戦争に敗れてから政教分離の原則が徹底されて信教の自由が保証されましたが、それでもまだお宮参りや願掛けや初詣に神社に言ったり、お祭りが絶えることなく続けられていたりと神様を信じている人は多いですよね。
神道は長い歴史を持っているし、多くの人はどこかの神社の氏子になっているから当然なんでしょう。
でも、普段は何気なく会話もする神主さんの身分がこれほど複雑なものとは驚きました。
これからはもう少し尊敬の眼で見るようにしないといけませんね。
あと、神社に行ったら神主さんの袴の色を見て身分を判断するという楽しみが増えました。
次はどこの神社に行こうかな~。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。