日本人って忘年会に新年会、歓迎会に送別会、お花見にバーベキューと、事あるごとにお酒を飲みたがりますね。(日本人だけじゃないか。)
お酒に強い人ならお酒を飲む機会は大歓迎なんですけど、私のように缶ビール1本で酩酊するようお酒に弱い人は、お酒を飲む場の雰囲気は好きなので「もっと飲めるようになれたらなぁ」と思います。
学生の頃に「お酒は鍛えれば強くなる」と言われ、飲んでは吐き、また飲んでは吐きということを繰り返しましたが、お酒にはあまり強くはなれませんでした。(汚い話でごめんなさい。)
その半面、「若い頃はあまり飲めなかった」という人にもたくさん会いました。
お酒に弱い人が強くなる方法ってあるんでしょうか?
また、最近テレビで宣伝しているウコンを飲めばお酒に強くなれるんでしょうか?
今回はそんなところを調べてみました。
お酒に酔うのは何故?
そもそもお酒を飲むと酔うのはどうしてなんでしょう?
アルコールが関係しているのだというくらいは分かるのですが、実はまだ他にも関係する物質があったんです。
アルコールにもアルコールランプの材料などになるメタノール(メチルアルコール)、車の不凍液に利用されるエチレングリコール、界面活性剤などに使われるセタノール(セチルアルコール)などがあり、お酒に含まれているのはエチルアルコール、つまりエタノールと呼ばれているものです。
そしてもう一つ酔いに関係しているのがアセトアルデヒドです。
エタノールの作用
ビールも日本酒もウイスキーも発酵させて作られますが、エタノールはこのアルコール発酵の過程で作られます。
体内に入ったエタノールは、2割ほどが胃から、残りのほとんどが腸から吸収されて血液に溶け込み、全身を巡って肝臓に届き、そこで分解されます。
エタノールには脳を麻痺させる作用があり、胃にもエタノールを分解する酵素があるのですが、この酵素が少なかったり働きが弱かったりすると下戸、いわゆるお酒に酔いやすいということになります。
肝臓で分解されなかったエタノールは肝静脈を通って心臓に戻り、再び全身を巡ってまた肝臓で分解されるという流れを辿ります。
アセトアルデヒドの作用
血液に溶けて肝臓にまわってきたエタノールは、アルコール脱水素酵素によってアセトアルデヒドに分解され、さらにアセトアルデヒド脱水素酵素によって無害な酢酸に分解されます。
アセトアルデヒドは皮膚の紅潮、心悸亢進(しんきこうしん・心臓の鼓動が早くなること)、吐き気、頭痛などを引き起こす有害物質で、アセトアルデヒド脱水素酵素が少なかったり活性が低いとアセトアルデヒドがたくさん残り、こういった症状がより強くでるわけです。
お酒に強くなる方法はあるの?
お酒の強さは遺伝!
これまで見てきたように、お酒に強い・弱いはアセトアルデヒド脱水素酵素が十分に働いているかどうかによります。
しかし、残念ながらアセトアルデヒド脱水素酵素の活性は血液型のように遺伝によって生まれたときから決まっているのです。
アセトアルデヒドを分解する能力に関係する遺伝子には強い・弱いの2つがあり、「強・強」の遺伝子を持つ人はアセトアルデヒドを分解する能力が高く、「弱・弱」のタイプの遺伝子を持つ人はアセトアルデヒドをほとんど分解することができないと言われています。
お酒は鍛えれば強くなる?
「お酒の強さが生まれつき決まっているなら、鍛えるなんてことはできない」と思うかもしれませんが、「強・弱」のタイプの遺伝子を持つ人は鍛えれば強くなれるんだそうです。
このタイプの遺伝子を持つ人がお酒を飲む機会を増やし、お酒の量を増やせばアセトアルデヒド脱水素酵素が活性化し、徐々にお酒に強くなっていくとのこと。
ただし、お酒を飲まない期間がしばらく続くと、この酵素の働きは元に戻ってしまいますので、定期的にお酒を飲むことが必要になってきます。
日本人で「鍛えれば強くなれる」タイプの人は全体の4割くらいだそうで、「最初から強い人」は5割、「飲めない人」は1割程度だそうですが、自分はどのタイプなのか知りたいですよね。
それは次のようにして知ることができます。
- 絆創膏のガーゼに消毒用エタノールを2~3滴落とす
- その絆創膏を二の腕の内側に貼って7分待つ
- 絆創膏を剥がしてすぐにガーゼが当たっていたところの肌の色を見る
- さらに10分ほど経過してから同じところを見る
3でも4でも肌の色が変わってなければ「最初から強い人」
3で変化なく、4で肌の色が赤くなる人は「鍛えれば強くなれる人」
3で肌の色が赤くなる人は「飲めない人」 と判断できます。
ただし、お酒に強くなろうとガンガン飲んでいると肝臓に負担をかけるばかりか、アルコール中毒になってしまう可能性もあり、実際にアルコール中毒になった人の多くは「鍛えれば強くなる」人だということです。
無理のない範囲で徐々に慣らしていきましょう。
ウコンでアルコールに強くなれる?
ウコンには秋ウコン、紫ウコン、春ウコンの3種類があり、カレーに入っているのは秋ウコンで、一般的にウコンと言えば秋ウコンのことを指し、ウコンに含まれるクルクミンという成分が肝臓に良いと言われています。
クルクミンとはターメリックの別名で、香辛料としてスーパーなどで売ってますね。
クルクミンには昔から肝臓の機能を強化する効果があり、アセトアルデヒドの分解を促進するのでお酒にも酔いにくくなると言われてきました。
しかし、この効能は体験的なものでしかなく、科学的な実験に裏付けられたものではないようです。
ですが、ラットを使った実験ではウコンを摂取した30分後には胆汁が2倍に増えて肝機能が向上し、アセトアルデヒドの分解速度が50%アップしたということです。
また、沖縄では二日酔い防止にウコン茶が良いとされ、体験的な効果が伝えられています。
過剰に期待するのではなく、気休め程度に飲むならいいのかもしれませんね。
ただ、ウコンには副作用も確認されていますので、過剰に摂りすぎないよう注意し、特に肝機能障害を持った方や妊娠・授乳中の方は気をつけましょう。
まとめ
- お酒に強い・弱いは遺伝で生まれたときから決まっている
- 「強・弱」のお酒の感受性の遺伝子を持っている人は鍛えれば強くなれる
- 日本人の4割程度が鍛えれば強くなれる人である
- ウコンで酔いが軽くなることに科学的なデータはないが、体験的に知られている
お酒があまり飲めない私は、鍛えようと学生時代にずいぶん飲みましたがそれほど強くならず、最近になって遺伝子のタイプをチェックしてみると、悲しいことに「弱・弱」でした。
これでは学生時代にいくら鍛えようとしても無理だったんですね。
そんな私がお酒を飲むときに気をつけていることは、何かを食べながら飲むということです。
アルコール(エタノール)は胃や腸から吸収されるので、何かが胃に入っていれば幽門部が閉じられて吸収がゆっくりになるからです。
「弱・弱」の遺伝子を持つ私は、これくらいしかお酒の酔いを和らげる方法はないようです。
でも、今度はお酒を飲む前にウコンも試してみようかな。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。