玉ねぎは体にいいってよくテレビや雑誌で報道されているんですけど、具体的には玉ねぎにはどんな健康効果があるのでしょうか。
そして、玉ねぎを食べ過ぎるとどうなるんでしょう?
また、玉ねぎを良い状態で保存するにはどうすればいいのでしょうか?
玉ねぎの効果
動脈硬化予防効果
玉ねぎにはビタミンやミネラルといった栄養成分が特に多く含まれているというわけではありません。
その代り、多く含まれているのが玉ねぎやにんにくなどネギ科の植物に特有の硫化アリルという成分です。
硫化アリルにもいろんな種類があり、玉ねぎに豊富に含まれているのがアリシンです。
アリシンは生の状態で含まれているアリインという成分が、潰したり加熱することで分解してアリシンになります。
このアリシンには悪玉コレステロールを減少させ、善玉コレステロールを増加させる働きがあるため、血液中のコレステロール値を下げて血液が凝固するのを遅らせ、動脈硬化予防に効果があると言われています。
(悪玉コレステロールも善玉コレステロールも人の体にとってはどちらも必要なものなんですけど、今の食生活は悪玉コレステロールが増えやすい傾向にあり、そのために脳梗塞や心筋梗塞などの患者さんが増えています。)
糖尿病予防効果
アリシンには血糖値の上昇を抑えて糖尿病を予防する働きがあると言われています。
生活習慣病のひとつであるとされる糖尿病は、エネルギーに変換されるはずの糖が変換がうまくいかずに血液に残ったままになってしまう病気です。
糖尿病は放置しておくと動脈硬化や命にかかわる深刻な合併症を引き起こします。
アリシンは体内のビタミンB1と結合してできるアリチアミンという物質が膵臓を活性化させ、ブドウ糖の消費を促すインスリンというホルモンの分泌を促すため、糖尿病予防に効果が期待できます。
また、ビタミンB1はブドウ糖をエネルギーに変換するための重要な栄養素であり、玉ねぎにはアリシンとビタミンB1のどちらも含まれています。
疲労回復効果
上でも説明していますが、アリシンとビタミンB1が結合してアリチアミンができます。
アリチアミンは血液中に長くとどまる性質があるため、ビタミンB1の働きが持続してエネルギーが産出し続けますので、疲労回復に有効だとされています。
ちなみに、アリチアミンの誘導体であるプロスチルアミンを使った疲労回復の薬が皆さんおなじみのアリナミンです。
血流改善効果
アリシンには血液の凝固を遅らせて血栓ができにくくする働きもあり、血流の改善に効果が期待が持てます。
血流が良くなることで冷え性や肌荒れの改善に効果が期待されます。
ところが、血栓ができにくくなる薬(抗血栓薬)を服用している場合にアリシンを一緒に摂取すると、出血した際に血が止まりにくくなるということもあります。
抗血栓薬や抗凝血薬を服用しているときは注意が必要です。
感染症予防効果
アリシンには強力な殺菌力があって薄めてもその効果は絶大であり、コレラ菌や大腸菌、サルモネラ菌や結核菌などの病原菌から私達を守ってくれます。
インフルエンザウイルスにも有効で、さらに風邪の予防にも効果があると言われています。
食欲増進効果
アリシンは唾液や胃液の分泌を増やす働きがあり、胃腸の働きを活発にして食欲を増進させます。
食欲のないときにでも食べられるカレーは、さらに食欲を増してくれる料理としてうれしい料理です。
血圧上昇抑制効果
ポリフェノールはほとんどの植物に含まれる成分で5000以上の種類があり、玉ねぎに多く含まれるのはケルセチンというポリフェノールです。
そして、ケルセチンには血圧の上昇を抑える効果があることが知られています。
また、アレルギー症状の緩和にも役立つと言われています。
ただ、ケルセチンは玉ねぎの茶色い薄皮に含まれていて、白い部分にはあまり含まれていません。
ケルセチンは玉ねぎの薄皮を熱水に浸しておくだけで簡単に抽出できますので、それを料理に使うことでケルセチンを多く摂取することができます。
玉ねぎを食べ過ぎるとどうなる?
玉ねぎはカレーやシチュー、八宝菜や酢豚や肉じゃがと多くの料理に使われていて、身体にも良いということは皆さんご存知でしょう。
でも、どんなに身体に良いものでも食べ過ぎれば何かしら影響が出てくるものです。
玉ねぎを食べ過ぎるとどんなことが起きるのでしょうか。
胃腸障害
玉ねぎの健康成分であるアリシンの殺菌効果はかなり強力です。
そのために人に有害な細菌だけでなく、もともと胃腸内にいる腸内細菌まで殺してしまい胃腸障害を引き起こしてしまうことがあり、具体的には
- 吐き気
- 胃痛
- 胸焼け
- 胃もたれ
これらの症状が現れることがあります。
また、アリシンによって腸のぜん動運動が活発になりすぎ、食べ物の水分が腸壁から十分に吸収されないまま便になってしまって下痢になることもあります。
体臭がきつくなる
玉ねぎには独特の臭いがありますね。
あの匂いはアリシンの持つ特有の臭いです。
アリシンは水溶性のため、体内に入ると血液に溶けて全身を巡ります。
汗をかくとその汗にもアリシンが溶け込んでいるので体臭がきつくなってしまうわけです。
体臭とは言えないのかもしれませんが、おならが臭くなるということもあります。
アリシンは硫化化合物であり、体内に入ると硫化水素を発生させます。
硫化水素の臭いは硫黄(いおう)温泉で感じるあのツンとした嫌な臭いです。
硫化水素ガスの多くは腸管で吸収され、血液に乗って肝臓で無臭化されますが、吸収されなかった分がおならに混じって出てきます。
少量と言えどもかなりの臭いです。
温泉地なら風情を感じる匂いなんですけど、おならの臭いはカンベンしてってとこですね。
さらに、おならを我慢していると腸管で吸収できない硫化水素が口から出てきて口臭が強いものになってしまいます。
何個までならいいの?
どんなに身体に良いものでも過剰に摂取すれば悪影響が出ます。
玉ねぎの成分で食べ過ぎで悪影響を及ぼすのはアリシンです。
生玉ねぎを10個も食べれば誰でも胃腸障害を起こすと言われていますが、「誰でも」というのは健康で胃腸も丈夫な人のことです。
玉ねぎ1個は約200gなので、一度に2kgも玉ねぎを食べる人なんていませんよね。
個人差もあるでしょうが、何個までなら大丈夫かと言う点については一般的には生玉ねぎは1/4個が目安とされています。
意外に少ないなって感じがしませんか。
これはアリシンの作用が強力だからです。
ただ、食べてみれば分かるんですけど、生玉ねぎ辛くてをそのまま食べるのはツラですね。
オニオンスライスで食べるときにもしばらく水にさらしてから食べます。
アリシンは水溶性なので、水にさらすと溶け出して身体への影響は少なくなりますが、全部溶け出してしまうわけではないので健康効果は残ります。
また、アリシンは熱に弱く加熱調理すると分解します。
カレーやシチューなどの加熱料理はアリシンの効果が生のときよりも少なくなっていますので、たくさん使っても問題はありません。
こうして見てくると個人差もあると思いますが、よほど異常な量を使わない限り玉ねぎの過剰摂取を気にすることはないと言えそうです。
玉ねぎの保存方法
玉ねぎは日持ちの良い野菜で涼しいときなら常温でも2ヶ月以上もちますが、他の野菜と違って湿度に弱いため、湿度の高い冷蔵庫では保存期間が短くなります。
しかし、暑さにも弱いため夏場は冷蔵庫保存のほうが適しています。
まるごと保存する場合
風通しの良い涼しいところで保存します。
玉ねぎどうしを重ねておかないほうがいいのですけど(接触している部分から腐りやすい)、重ねる場合には新聞紙にくるんで湿気を防止します。
農家の軒先に玉ねぎが吊るしてあるのを見たこともあるかと思います。
そんな場所がないときには使わなくなったストッキングやみかんネットに入れ、結び目を作って1個ずつ独立するように吊るして室内で保存するという方法もあります。
涼しくて陽が当たらないところなら、5月に採れた新玉ねぎでも夏過ぎまで保ちます。
さすがに保存期間があまりに長くなると玉ねぎから芽が出てしまいます。
芽が出た玉ねぎも毒性はないので食べられますが、風味は落ちます。
室内だと夏場の誰もいないときは室温が異常に高くなることもありますので、冷蔵庫で保存したほうがいいでしょう。
この場合も新聞紙でくるんで湿気を防ぐようにします。
保存期間は1ヶ月くらいになります。
使いかけを保存する場合
一度包丁を入れてしまった玉ねぎは、痛みが早くなりますので冷蔵庫で保管したほうが長持ちします。
切断面の水気をよく拭き取り、切断面にラップを密着させてくるんで冷蔵庫の野菜室で保存します。
一週間ほどは保ちます。
みじん切りを保存する場合
みじん切りにした玉ねぎは、生のものも炒めたものも少量ずつラップにくるんでジップロックなどの密閉袋に入れて冷凍保存します。
冷凍の場合の保存期間は1ヶ月くらいです。
まとめ
玉ねぎの効果
- 動脈硬化予防
- 糖尿病予防
- 疲労回復
- 血流改善
- 感染症予防
- 食欲増進
- 血圧上昇抑制
食べ過ぎるとどうなる?
- 胃腸障害
- 体臭が強くなる
何個までならいい?
- 生玉ねぎは1/4個
- 加熱調理なら何個でも
保存方法は?
- 冷暗所で湿気を避けて1個ずつ
- 使いかけはラップでくるんで冷蔵庫の野菜室へ
- みじん切りはラップに包んで冷凍庫へ
玉ねぎはどの部分を食べているのか知ってますか?
実はあの丸い玉ねぎの部分は葉っぱが変形したもので、次に芽を出すための栄養が蓄えられているんだそうです。
私の家でも裏庭で玉ねぎを栽培していて、日陰の涼しいところに吊るして保存しています。
でも、食べきれないものは秋ころに芽を出します。
寒いときにはじっと地中で過ごし、暖かくなってくると成長して栄養を蓄えて大きくなる玉ねぎ。
そんな玉ねぎを食べてしまうのですから、ちゃんと感謝していただかないといけないですね。
そして、栄養たっぷりの玉ねぎを用意してくれた神様にも感謝・感謝です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。