最近よく機能性表示食品というものを目にするようになりました。
名前からすると「この食品にはこんな機能がありますよということが表示された食品」ということになると思うんですけど、テレビのペットボトル入りのお茶なんかのコマーシャルでお馴染みのトクホにも機能が表示されています。
さらに、栄養機能食品というものもあって消費者にとっては何を口にしたら身体にいいのかよくわからないですね。
機能性表示食品とはどんなもので、栄養機能食品やトクホとは何が違うんでしょうか?
「機能性表示食品」「トクホ」「栄養機能食品」の三つの制度が導入されたのは
- トクホ 1991年
- 栄養機能食品 2001年
- 機能性表示食品 2015年
となっていて、意外にもトクホが導入されたのが一番古いんです。
ここでは、制度が導入されたのが古い順にそれぞれどんなものか見てみます。
トクホとは?
トクホは正式には特定保健用食品と言い、消費者庁によると
健康の維持増進に役立つことが科学的根拠に基いて認められ、「コレステロールの吸収を抑える」などの表示が許可されている食品です。
表示されている効果や安全性については国が審査を行い、消費者庁長官が許可しています。
となっています。
トクホには次の4種類のものがあります。
- 個別許可型(一般的にトクホといえばこれにあたります)
- 規格基準型
- 疾病リスク低減表示
- 条件付き特定保健用食品
個別許可型は審査基準が一番厳しいもので有効性も高いものです。
規格基準型は科学的根拠が蓄積された成分について規格基準を設け、消費者委員会と食品安全委員会の審査を省略したものです。
疾病リスク低減表示は、成分の疾病リスク低減が医学的に認められているもの。
そして、審査基準は満たさないが一定の有効性が認められるものが条件付き特定保健用食品です。
いろいろあって分かりづらいですね。
トクホで表示できる効能と成分
名称だけではよく分からないので、それぞれのトクホにどんな言いまわしができるのか見てみましょう。
◆個別許可型トクホ
●お腹の調子を整えます・・・各種オリゴ糖、ビフィズス菌など
●食後の血中中性脂肪の上昇を緩やかにします・・・中鎖脂肪酸、茶カテキンなど
●食後の血糖値が気になる方に・・・食物繊維(難消化性デキストリン)など
●コレステロールが高めの人に適しています・・・キトサン、大豆たんぱく質など
◆規格基準型トクホ
●ガラクトオリゴ糖が含まれており、ビフィズス菌を増やして腸内の環境を良好に保つので、お腹の調子を整えます・・・各種オリゴ糖、食物繊維(難消化性デキストリン)など
●食物繊維(難消化性デキストリン)の働きにより、糖の吸収を穏やかにするので、食後の血糖値が気になる方に適しています・・・食物繊維(難消化性デキストリン)など
◆疾病リスク低減表示
●この食品はカルシウムを豊富に含んでいます。日頃の運動と適切な量のカルシウムを含む健康的な食事は、若い女性が健全な骨の健康を維持し、歳をとってからの骨粗鬆症になるリスクを低減するかもしれません。・・・カルシウム
◆条件付き特定保健用食品
●本品は豆鼓エキスを含んでおり、根拠は必ずしも確立していませんが、中性脂肪が高めの方に適している可能性がある食品です・・・豆鼓エキス
(上記はいずれも消費者庁の資料から抜粋)
一般的なトクホ(個別許可型トクホ)はズバリと表現されていてよく分かりますが、そのほかのトクホはやっぱり違いがよく分かりませんね。
栄養機能食品とは?
栄養機能食品について消費者庁の資料では次のように説明されています。
1日に必要な栄養成分(ビタミン、ミネラルなど)が不足しがちな場合、その補給・補完のために利用できる食品です。
すでに科学的根拠が確認された栄養成分を一定の基準量含む食品であれば、特に届け出をしなくても、国が定めた表現によって機能性を表現することができます。
人間に不可欠な栄養成分のうち現在のところ、次の1種類の脂肪酸と6種類のミネラルと13種類のビタミンについては一定量を含んでいれば企業独自の判断で栄養機能食品に指定することができ、栄養成分の効能についても表示することができるというものです。
- 脂肪酸・・・n-3系脂肪酸(オメガ3脂肪酸)
- ミネラル・・・カルシウム、亜鉛、胴、マグネシウム、鉄、カリウム
- ビタミン・・・ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン
つまり、これらの栄養素については一定量を含有していれば、特に届け出をしなくてもその成分と効能について、例えば「栄養機能食品(ビタミンC) ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です」とパッケージに記載できるというわけです。
ただし、「シミを薄くします」「シワを目立たなくします」など、特定の用途を記載することはできません。
機能性表示食品って何?
これまでトクホと栄養機能食品についてみてきたんですけど、ややこしくてよく分からなかったのではありませんか?
そこで登場したのが機能性表示食品の制度です。
消費者庁の資料でも次のように説明されています。
●機能性を表示することができる食品は、これまで国が個別に許可した特定保健用食品(トクホ)と国の規格基準に適合した栄養機能食品に限られていました。
●そこで、機能性を分かりやすく表示した商品の選択肢を増やし、消費者の皆さんがそうした商品の正しい情報を得て選択できるよう、平成27年4月に、新しく「機能性表示食品」制度がはじまりました。事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品です。販売前に安全性及び機能性の根拠に関する情報などが消費者庁長官に届けられたものです。ただし、特定保健用食品とは異なり、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではありません。
機能性表示食品は「◯◯が含まれているのでお腹の調子を整えます」「◯◯が脂肪の吸収を穏やかにします」などといった、特定の保健の目的を表示することができる食品ということになります。
安全性が確保され、機能性(有効性)が証明できる科学的根拠があり、適切な情報提供がなわれていれば、これまで機能性を表示できなかった健康食品と言われる食品にも機能表示ができるようになったのが機能性表示食品の制度です。
機能性表示食品、栄養機能食品、トクホの違い
実は、機能性表示食品も栄養機能食品もトクホ(特定保健用食品)も機能性の表示ができる保健機能食品の範疇に含まれる食品です。
栄養機能食品は特定の20種の栄養素についてのものだけなのですぐに分かりますが、機能性表示食品とトクホは表示の仕方もよく似ています。
この二つの決定的な違いは、トクホには臨床試験などの審査があって消費者庁長官の認可が必要なのに対し、機能性表示食品は安全性や有効性等の根拠情報を含めた製品情報を消費者庁に届けるだけでいいという点です。
つまり、トクホは許認可制、機能性表示食品は届出制であるということです。
そのため、トクホは申請してから認可が下りるまでに長い時間がかかり、一方の栄養機能食品は製品発売の60日までに製品情報を届ければいいので早く市場に流通させることができ、製品の種類も多くなります。
機能性が表示された食品は販売量も増え、発売できるようになるまでの期間も短くなれば企業にとってはありがたいことになります。
終わりに
健康に留意している人なら、栄養機能食品に含まれている栄養素についてはよく知っているでしょう。
しかし、トクホと機能性表示食品の区別については知らない人のほうが多いのではないでしょうか。
機能性表示食品は届出制のため、安全性評価は企業に任されていてその是非も問われていません。
その点から考えれば、国の機関によって検証されているトクホのほうが効能や安全面において優れていると言えそうですね。
値段は少し高いのですが・・・・。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。