ここ最近、テレビのニュース番組なんかを見ていると、コメンテーターとして◯◯大学准教授という肩書の方がよく登場するようになり、以前はよく見た助教授という肩書の方を見かけなくなりました。
それにちょくちょく助教という役職も見聞きするようになりました。
助教は助教授を短縮しているだけなのでしょうか?
また准教授と助教授と助教のなかではどの役職が一番偉いんでしょう?
准教授と助教授の違い
はじめに准教授と助教授の違いを見てみましょう。
結論から言うと、現在では助教授という肩書(職級)はありません。
従って准教授と助教授ではどちらが偉いかという比較はできません。
教授や助教授という職級は学校教育法で定められるのですが、「学校教育法の一部を改正する法律」が2007年4月1日に施行され、そのときに助教授という職級が廃止されました。
そして助教授という職級に代わるものとして設置されたのが准教授という職級です。
代わるものと言ってもその職務にも違いが出ています。
准教授と助教授の職務の違いを見るには、改正前と改正後の学校教育法を見るのが一番です。
改正前の学校教育法
第58条 大学には学長、教授、助教授、助手、及び事務職員を置かなければならない。
6 教授は、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。
7 助教授は、教授の職務を助ける。
これを見ると、教授の補佐役である助教授は勝手に独自で自由に研究をすることはできないということになります。
教授の補佐役が第一優先事項だからです。
改正後の学校教育法はどうなっているのでしょうか?
改正後の学校教育法
第92条 大学には、学長、教授、准教授、助教、助手及び事務職員を置かなければならない。ただし、教育研究上の組織編成として適切と認められる場合には、准教授、助教、又は助手を置かないことができる。
6 教授は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の特に優れた知識、能力及び実績を有する者であって、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。
7 准教授は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の優れた知識、能力及び実績を有する者であって、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。
ここでの教授と准教授の違いは、知識、能力及び実績が「特に」優れているかどうかだけで、職務上では教授と准教授は対等の立場にあると言えます。
助教授と准教授の大きな違いをまとめると次のようになります。
助教授
- 教授の補佐役
- 独自の研究が自由にできない
准教授
- 職務上は教授と対等
- 独自の研究が自由にできる
助教授は教授が引退しないかぎり教授に昇格できないようなところがありましたが、これでは若い研究者の障害になってしまうということで、助教授という職級をなくして職域権限を広げた准教授という職級を作ったというわけです。
助教授という職級はもうないので准教授とどちらが偉いのかという比較はできませんが、職域が広がったという点を見れば准教授のほうに優位性があるのかもしれませんね。
助教とは?
助教も改正された学校教育法で新たに登場した職階で、助教授を縮めたものではありません。ややこしいですね。
改正後の学校教育法では助教は次のように定義されています。
第92条の8
助教は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の知識及び能力を有する者であつて、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。
准教授と比べてみると、教育上、研究上又は実務上の知識が優れているかどうかと実績があるかどうかいう点です。
改正前の学校教育法には助教の職級はなく、それに相当するものとして助手がありました。(現行の学校教育法でもあります。)
旧来の助手はそこから教授の道に進む人と、研究の補助や事務などを専任とする人に分かれていましたが、改正された学校教育法ではそれが助教と助手にはっきりと分かれたのです。
ちなみに学校教育法での助手の表記は次のようになっています。
改正前学校教育法
第58条の7
助手は、教授及び助教授の職務を助ける。
改正後学校教育法
第92条の9
助手は、その所属する組織における教育研究の円滑な実施に必要な業務に従事する。
つまり現行の学校教育法では、助手の職務は学校(大学)の業務を円滑に推進することだけであるということです。
准教授と助教のどちらが偉いかという点では、准教授に軍配が上がりますね。
まとめ
- 助教授という職級は今はもうない
- 准教授は職務上は教授と同じ
- 助教は旧来の助手から教授への道を目指す職級
- 准教授と助教では准教授のほうが職制が上
大学の教授になろうとすると、大学院の前期課程を2年間、さらに後期課程を3年間履修して博士号を取得し、大学教員の求人を探して就活、その後も助教や講師、准教授などを経て教授になることができます。
しかもうまいこと大学教員の求人があってもその競争率は数十倍から数百倍であると聞きます。
そして教授になれるのは40代後半から50代にかけてだそうです。
大学を卒業してからも気の遠くなるような時間をかけて一つのことを研究し続けるなんて、准教授や助教の人たちは素晴らしいですね。
私も見習わなければいけないと思う今日このごろです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。