暖かくなってくるとフィリピンやオーストラリアなど、南の方から日本にやってくるツバメ。
小さい頃、祖父や祖母から「ツバメが巣を作ると縁起がいい」と聞かされました。
私の家にもほどんど毎年軒下にツバメが巣を作るんですけど、ツバメが巣を作ると縁起がいいと言われるのはどうしてなんでしょうか。
ツバメが巣を作ると縁起がいい理由
ツバメは田の守り神
ツバメはスズメなどと違って穀物を食べません。
それどころか、ツバメはウンカやニカメイチュウ(ニカメイガ)など稲の害虫となる飛んでいる虫を捕食してくれます。
そのため、米作農家にとってツバメは田の守り神として大切にされてきたのです。
古くから稲作が盛んだった日本では、ツバメは豊作をもたらす縁起が良い鳥として認識されていたのです。
ツバメが巣を作る家は家相がいい
なかには日本で越冬するツバメもいますが、多くのツバメは南方からやってくる渡り鳥です。
長い距離を飛んで渡ってくるのですから、作った巣がダメになってしまってはせっかくの苦労が水の泡になってしまいます。
動物には科学で解明できていない不思議な能力があるようで、地震の前に動物が騒ぐというのもその一例です。
ツバメにもそんな能力が備わっていて、どんな家がいいのかを知っているのだを言われています。
実際に火事を出す家には巣を作らないそうです。
つまり、縁起がいい家(家相がいい家)だからツバメが巣を作るということになります。
ツバメは人の出入りの多いところに巣を作る
スズメの巣やカラスの巣ってほとんど見かけたことはないですね。
ところがツバメは逆に人目につくところに巣を作るので、すぐに気づきます。
これは、人の出入りが多いところなら天敵であるカラスや蛇が近寄らない、ということをツバメが本能的に知っているからなのではないかと考えられています。
「人の出入りの多い所」はすなわち「繁栄しているところ」ということなので、ツバメが巣を作る家は繁栄した縁起がいい家になるわけです。
私の家は古い日本家屋で、引き戸の出入り口の上にガラスをはめた欄間のようなものがあります。
なにかの拍子でそのガラスが割れてしまったとき、ツバメがそこを通って玄関の天井近くに巣を作ってしまいました。
玄関を人が通るとき、ツバメの巣と人との距離は1mもありません。
こんなに人の近くに巣を作る鳥ってツバメしかいませんよね。
そしてさらに玄関と居間の出入り口を開けておくと、居間にまで入ってくるようになりました。
雛が卵からかえるとピーピーうるさいし畳やテーブルの上にフンをするので、こりゃたまらんと雛が巣立ってから欄間を塞いだら、次の年から軒下に巣を作るようになりました。
ツバメは人に対してあまり警戒心を抱かないんでしょうかね。
ツバメの巣を撤去してもいいの?
いくらツバメの巣が縁起がいいからといっても、雛の鳴き声はうるさいしフンの掃除は大変です。
フンにはほぼ100%の確率でダニが生息していてアレルゲンにもなるそうですから、特に小さなお子さんのいる家庭では心配です。
不衛生だからとツバメの巣を壊して撤去してしまいたいと思うこともありますが、不用意にツバメの巣を壊してしまうと法律違反になることもあります。
鳥獣保護法(鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律)第八条には次のように書かれています。(電子政府の総合窓口より)
第八条 鳥獣及び鳥類の卵は、捕獲等又は採取等(採取又は損傷をいう。以下同じ。)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 次条第一項の許可を受けてその許可に係る捕獲等又は採取等をするとき。
二 第十一条第一項の規定により狩猟鳥獣の捕獲等をするとき。
三 第十三条第一項の規定により同項に規定する鳥獣又は鳥類の卵の捕獲等又は採取等をするとき。
(鳥獣の捕獲等及び鳥類の卵の採取等の許可)
例外も書かれていますが、一般の人は鳥類やその卵を採取してはいけないということです。
そして、第八十三条には第八条に違反したものは一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する、とあります。
ツバメの巣を撤去しようとするとき、そこにまだ雛がいたり卵があったりすれば「鳥獣の捕獲」や「卵の採取」に当たり、法律違反になります。
ツバメの巣を撤去するなら、雛が巣立ってからにしないといけません。
卵や雛がまだいるときに撤去しようとするなら、自治体に連絡してその支持を仰ぐようにしましょう。
数年前に家の軒下のツバメの巣から雛が地面に落ちていたことがありました。
雛はまだ生きていたので私が餌付けして育てようかとも思いましたが、そのままそっと巣に戻しておきました。
その雛はちやんと巣立ったようですが、あやうく法律違反を犯すところでした。
余談ですがツバメに巣を作られたくないなら、軒下にネットを張っておくと効果的ですよ。
まとめ
ツバメの巣が縁起がいいと言われる理由
- ツバメは稲の害虫を食べてくれる田の守り神だから
- ツバメは家相のいい家に巣を作るから
- ツバメは「人の出入りの多いところ」=「繁栄しているところ」に巣を作るから
ツバメは天敵が近寄らないところに巣を作るそうですが、たまには間違うこともあるようです。
数年前、玄関を開けたらヘビがツバメの雛を半分くらい飲み込んでいるところに遭遇しました。
ヘビを捕まえて雛を助けようとも思ったんですけど、ツバメが田の守り神ならヘビは家の守り神です。
田んぼはあるけど自分でお米は作ってないし、獣の世界は弱肉強食だからしょうがないかと、そのまま放置しました。
猫を飼い始めてから家の周りでヘビを見ることがなくなったような気がします。
我が家の守り神はいなくなっちゃったんでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。